1つの言葉に複数の漢字表記がある場合、どのように使い分ければいいのか迷ってしまうことがありますよね。
今回は「かかわる」について、現役フリーアナウンサーの笠井美穂が「関わる」「係わる」という2つの表記の違いや、「かかわる」と読む他の漢字などを解説していきます。
・「関わる」と「係わる」の意味と違い
・「関わる」「係わる」の例文
・「関わる」「係わる」と「拘る」の違いは?
・常用漢字表に記載のある「関わる」を使うのが一般的
「関わる」と「係わる」の意味と違い
国語辞典で「かかわる」と引くと、「関」「係」、そして「拘」と3種類の漢字表記が示されています。
『大辞泉 第二版』(小学館)
【かかわる】(関わる・係わる・拘わる)
1. 関係をもつ。関係する。
2. 重大なつながりをもつ。影響が及ぶ。
3. (拘わる)こだわる。
(3の意味と「拘」の漢字については後ほど詳しく見ていきます)
「関わる」と「係わる」は、いずれも1. 関係を持つ・関係するの意味や、2. 重大なつながりをもつ・影響が及ぶの意味で使われるもので、どちらの漢字で表記しても意味の上では大きな違いはありません。では、「関わる」「係わる」どちらの漢字を使えばよいのでしょうか?
「係わる」という表記は日本語としては正しいものですが、より一般的に分かりやすいのは「関わる」だといえるでしょう。
公用文を作る際や、放送、出版など多くの人が目にするものでは、この常用漢字を使用することが推奨されています。ビジネス文書などの場合も、これにならって常用漢字である「関わる」の表記を用いる方が良さそうです。
「関わる」「係わる」の例文
前述したとおり、「関わる」と「係わる」は意味の上では違いはありません。以下に、「関わる」の表記で用例を示しますが、「係わる」としても間違いではありません。
【例文】
「まちづくりに関わる仕事がしたいです」
「普段関わりのない人なので良く知りません」
「計画の根幹に関わる大きな問題です」
「関わる」「係わる」と「拘る」の違いは?
前述の辞書には、「関わる」「係わる」以外に「拘わる」という表記もありました。
「拘」は、「こだわる」とも読む漢字で、先ほどの辞書の意味のうち、特に3の意味の場合にこの漢字を使います。また、「…にもかかわらず」というような場合もこの漢字を使います。
「拘わる」「拘わらず」の例文
・つまらないことに拘わっていないで早く終わらせなさい。
・年齢や性別に拘わらずご参加いただけます。
・怪我にも拘わらず新記録を樹立した。
ただし、前述したとおり、常用漢字表に「かかわる」という読みが記載されているのは「関」のみです。
3の「こだわる」という意味での「かかわる」や、「…にもかかわらず」という場合は漢字を使わず、ひらがなで表記する方が、より多くの人にとって分かりやすいでしょう。
関連記事:「拘る」とは? 読み方や意味、使い方、例文をアナウンサーが解説
常用漢字表に記載のある「関わる」を使うのが一般的
ここまで見てきたように、関係するという意味で「かかわる」という場合は「関わる」「係わる」どちらの表記も間違いではありません。
どちらを使うか迷った場合は、常用漢字表に記載のある「関わる」を使った方が、より一般的で多くの人に分かりやすいでしょう。
また、こだわるという意味での「かかわる」や「…にもかかわらず」という場合、漢字では「拘わる」と表記しますが、これは常用外の読み方ですので、ひらがなで書く方が親切な表現です。
この機会に、「かかわる」の書き分け方を覚えてみてください。