
「けいほう」や「ふほう」と読んでいるのを耳にしたことがあるという人もいるかもしれませんが、正しい読み方はどちらなのでしょうか。
今回は「訃報」の正しい読み方について、現役アナウンサーの笠井美穂が解説していきます。
<目次>
・そもそも「訃報」の意味とは
・「訃報」の正しい読み方は「ふほう」
・「訃報」の間違った読み方「けいほう」「とほう」
・「訃報」の正しい読み方を覚えておこう
そもそも「訃報」の意味とは
訃報とは、人の死亡を伝える報告や通知のことを指します。例えば、「先生の訃報が届く」や「友人の訃報に接する」などと使います。
似た言葉に「凶報」や「悲報」がありますが、それぞれ悪い報せや悲しい報せ全般を意味するのに対し、「訃報」は人の死の報せのみを表すところに違いがあります。
「訃報」の正しい読み方は「ふほう」
人が亡くなったことを知らせる「訃報」の正しい読み方は「ふほう」です。「訃」という漢字の読み方は「フ」、この字自体に「人の死を知らせる」という意味があります。
「訃報」以外にも「訃音(ふいん)」や「訃告(ふこく)」といった言葉にもこの漢字が使われており、いずれも「人の死の報せ」を意味します。
「訃報」の間違った読み方「けいほう」「とほう」
「訃報」の正しい読み方は「ふほう」ですが、「けいほう」や「とほう」といった読み方を耳にすることがあるかもしれません。これらはいずれも誤った読み方ですが、なぜこのように読まれてしまうのでしょうか。・【誤】けいほう
「けいほう」と読んでしまう背景には、「訃」という漢字が「計」という漢字と似ていることが関係しているかもしれません。「時計」や「計算」などの言葉で使われる「計」は、小学2年生で習う常用漢字で、多くの人になじみがあります。
「訃」という漢字に比べると日常生活でもよく目にするため混同し、「訃報」を「けいほう」と読んでしまうのかもしれません。
・【誤】とほう
「とほう」と誤って読んでしまう背景には、「訃」の漢字のつくりの部分にある「卜」が、カタカナの「ト」と似ていることによるものだと考えられます。
「卜」は漢字で、「ボク」や「うらなう」と読みます。「と」という読み方はありませんが、その形から「と」と読みたくなってしまうのかもしれません。日本テレビの水卜(みうら)アナウンサーの愛称も「みとちゃん」ですよね。
この、ついつい「と」と読みたくなる「卜」が「訃」の一部に入っていることから、「訃報」を「とほう」と誤読してしまうのかもしれません。
「訃報」の正しい読み方を覚えておこう
日常生活で接する機会の少ない言葉は、正しい読み方に迷うことがあるかもれません。「訃報」の正しい読み方は「ふほう」と、この機会に覚えてみてください。
使う場面は少ないかもしれませんが、「訃報」という言葉は誰かが亡くなったときに使われるものなので、厳粛な場面で誤った言葉遣いをしてしまわないよう気を付けたいものですね。
■執筆者プロフィール

笠井 美穂(かさい みほ)
福岡県出身。九州大学文学部を卒業後、KYT鹿児島讀賣テレビに入社。退社後は、報道番組を中心にフリーアナウンサーとして活動。これまでの出演は、NHK北九州放送局『ニュースブリッジ北九州』、NHK BS1『BSニュース』、NHK Eテレ『手話ニュース』、NHK ラジオ第1『NHKきょうのニュース』『ラジオニュース』など。