
「為す術もない」などという場合に使う「術」という言葉。皆さんは正しい読み方をご存知ですか?
「じゅつ」「すべ」と2通りの読み方を聞いたことがあるという人もいるかもしれません。
今回は「術」の正しい読み方をフリーアナウンサーの花崎阿弓が解説していきます。
<目次>
・「術」の言葉の意味とは
・「術」の正しい読み方は「じゅつ」「すべ」?
・「術」の意味を理解して正しく使い分けよう
「術」の言葉の意味とは
「術」は、さまざまな意味を持つ日本語の言葉です。一般的には、特定の目的や目標を達成するための技法や方法、手段を指すことが多いです。また、特定の技能や技術を指すこともあります。具体的な例としては、芸術やスポーツの技術、手術の技術、または問題解決や交渉の方法などが挙げられます。
「術」の正しい読み方は「じゅつ」「すべ」?
「術」を読む場合「じゅつ」「すべ」どちらが正しいのでしょうか。結論からいうと本来の読み方はどちらも正しいといえます。音読みで「じゅつ」訓読みで「すべ」と読みます。このほかにも、「すい」「しゅつ」「わざ」とも読むことができます。
「術」は、じゅつと読んでわざとも読みわざの意味となります。
じゅつ【術】
学問。技芸。「算術」「武術」 ②すべ。てだて。方法。たくらみ。「術策」「術中」と読まれます。
(漢字ぺディア)
このほか、「手術」などでも用いられます。
しゅじゅつ【手術】
医学の外科領域における治療手技をいう。外科を意味する英語のsurgeryは、「手」と「働き」を意味するギリシア語を結び付けてできた語であり、手術と同じことを意味している。手術の英語operationは「操作」を意味し、外科手術の実態を示している。このオペレーションを略して単にオペともいう。手術とは、つまり、外科医の手を用いて、生体を縫い合わせ、切り開き、切り取り、また継ぎ合わせ、覆い包むことのすべてを総称する語である。
(『日本大百科全書』(ニッポニカ))
このように、技術や手段、方法を用いる際に「じゅつ」と読ませます。
ちなみに「すべ」と読ませる「為す術」はこのように表されています。
すべ【術】
行える手立て。 打つ手。 なにもできない様を「為す術がない」などと表現する。
(実用日本語表現辞典)
これは、慣用句となりよく使われる言葉です。打つ手がないときに使われる事が多いですが、「生きる術がある」(生きていく方法を知っていること)など、何か方法があるときに使われることもあります。
「術」の意味を理解して正しく使い分けよう
「術」は「じゅつ」「すべ」どちらの読み方も正解です。
どちらも方法や手立て、手段などの意味があり訓読みするか音読みするかの違いとなります。「為す術がない」などのような慣用句では、「なすすべがない」と読むので覚えておくとよいかもしれません。
この機会にぜひ、「術」の本来の読み方を確認してみてください。
■執筆者プロフィール

花崎 阿弓(はなさき あゆみ)
兵庫県出身。武庫川女子大学を卒業後、ケーブルネット鈴鹿に入社。退社後は、静岡FM、FM栃木で情報番組やニュースを担当。これまでの出演経歴は、『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)『有吉反省会』(日本テレビ系)『有吉ジャポン』(TBS系)『ナカイの窓』(日本テレビ系)『Abema prime NEWS』(AbemaTV)など。現在は、『横浜ユーポスラジオ』(ラジオ日本)『渋谷いきいき倶楽部』(渋谷のラジオ)などの情報番組を担当しています。