緒戦とは?「初戦」との違いは? 意味・例文・読み方

緒戦とは、試合や競技大会の最初の試合やラウンドを指す言葉です。一方、初戦とは、個人やチームが参加する最初の試合を指す言葉です。緒戦も初戦も、読み方は「しょせん」。元は「緒戦」の漢字のみでしたが、現在では使い分ける方が正しいとされています。

「緒戦」と「初戦」の違いは? 正しい意味や例文
「緒戦」と「初戦」の違いは? 正しい意味や例文

私は野球を観るのが大好きで、特に日本のプロ野球のシーズン中は自分の応援するチームの経過・結果などがとにかく気になります。シーズンの初めから大一番まで毎日追うわけですが、そんな中で、「初戦」「緒戦」と同じ音の言葉をよく聞きます。
 

今回は、野球だけでなくスポーツに関して使われるこの2つの言葉について、フリーアナウンサーの新保友映がお伝えします。
 

<目次>
「緒戦」と「初戦」の意味の違い
かつては「緒戦」という言葉だけだった? 
「緒戦」「初戦」の例文
「緒戦」の読み方は?
「緒戦」と「初戦」は意味によって使い分けよう

「緒戦」と「初戦」の意味の違い

緒戦とは、試合や競技大会の最初の試合やラウンドを指す言葉です。一方、初戦とは、個人やチームが参加する最初の試合を指す言葉です。

「緒戦」は大会全体における最初の試合、試合における最初の段階などを指すことが多く、「初戦」は個人やチームの最初の試合を指すことが多いです。

かつては「緒戦」という言葉だけだった? 

かつては「初戦」という言葉はなく、いくつかある試合の最初の試合のことも、試合の序盤のことも両方「緒戦」と言っていたそうです。そのため、辞書にはそれぞれの項目で「初戦=緒戦」と説明されています。
 

ただ現在は、「初戦」と「緒戦」は分けて使われることが基本となっていて、『NHK間違いやすい日本語ハンドブック』(NHK出版)でも

  • 緒戦=戦いのはじめの段階。
  • 初戦=最初の戦い、第一戦。

 

と説明されています。

「緒戦」「初戦」の例文

改めて「緒戦」「初戦」の例文を解説します。

・「緒戦」の例文
「緒戦から優勢を保って、今日の試合は圧倒的な勝利を収めた」
「緒戦の劣勢を盛り返すことなく敗退してしまった」

・「初戦」の例文
日本代表チームは、世界大会の初戦を突破した」
「僕の所属していたチームは地方大会の初戦を落として、全国大会には進めなかった」

「緒戦」の読み方は?

読み方に関してはどうでしょうか。

漢字には日本に伝わった漢字字音の1つで、中国の唐の時代の長安付近での標準的な発音が奈良時代に伝わった読み方の「漢音」と、それ以外に日本で昔から、または誤って普通に使われている読み方の「慣用音」があり、「緒」の「漢音読み」は「しょ」、「慣用読み」は「ちょ」です。

つまり、「緒戦」=「しょせん」と読むのが基本で、「ちょせん」は「情緒(じょうちょ)」や「端緒(たんちょ)」などと同じような慣用的な読み方になります。

関連記事:慣用読みとは? 慣用読みの一覧や普及された理由をアナウンサーが解説

「緒戦」と「初戦」は意味によって使い分けよう

「初戦」と「緒戦」は、元は「緒戦」のみしかなく、現在使っている「最初に経験する試合」と「その戦い(試合)の初め」の両方の意味を表していましたが、現在では使い分ける方が正しいとされています。
 

同じ音で同じような意味を表す言葉なので、上で示したように字の意味を考えて使い分けると間違いがなさそうです。


■執筆者プロフィール

新保友映
新保 友映(しんぼ ともえ)
山口県岩国市出身。青山学院大学卒業後、2003年にアナウンサーとしてニッポン放送に入社。『オールナイトニッポンGOLD』のパーソナリティをはじめ、『ニッポン放送ショウアップナイター』やニュース情報番組、音楽番組など担当。2018年ニッポン放送退社後はフリーアナウンサーとして、ラジオにとどまらず、各種司会、トークショーMC、YouTube、Podcast、話し方講師など幅広く活動。科学でいじめのない世界をつくる「BE A HEROプロジェクト」特任研究員として、子どもたちの授業や大人向け講座の講師も担当している。
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