「いまは絶対に値上げしてはダメ。世の中がとても困っているから」
「サイゼリヤ」創業者の正垣泰彦会長がNewsPicksのインタビューでそのように訴えて「称賛」されたのは6月中旬のことだった。あれから2カ月を経て、企業の多くが値上げを余儀なくされ、さらには「再値上げ」に踏み切ろうとする中でも、サイゼリヤは「有言実行」を貫いて値上げをしていない。
今あえて「値上げしない」企業
このように、時代に逆らって「値上げしない」を貫く企業は他にもある。例えば、総合菓子メーカーのシャトレーゼは、店で扱っている約400種類の全商品の価格を2023年3月まで据え置く方針を打ち出して、ファンから感謝されている。同社ホームページには、「値上げしないことへの挑戦」という覚悟が紹介された特設ページも作られている。
また、流通大手イオンもギリギリのところで踏みとどまっている。2021年9月から「価格凍結宣言」をうたってプライベートブランド「トップバリュ」全商品の価格据え置きを続けてきたが、7月にとうとうマヨネーズなど3品目の値上げに踏み切った。「価格凍結」という看板は下げざるを得なくなったものの、現在も食品や日用品など約5000品目の「価格維持」を続けている。
今の時代、このようなスタンスを貫くことがいかに難しいことなのかということは、長らく「値上げしない企業」の代表格だったワークマンを見ればよく分かる。
同社は2022年2月にプライベートブランド製品の価格を維持すると「価格据え置き宣言」を発表していたが先日、2023年春夏商品から価格見直しを検討していることを明らかにした。「激安」で順調に成長をしてきたベイシアグループをもってしても、世界的な原料費や輸送費の高騰や円安には屈せざるを得なかったというワケだ。