地道な方法で観測される花粉、最近ではロボットも
鼻がムズムズ、目もかゆい……、春といえば厄介な花粉のシーズン。花粉症の人にとってはつらい季節の始まりです。
毎日の天気予報でも花粉の飛散量の予想が伝えられていますが、予想のためには実際にどれくらいの花粉が飛んでいるのかを知る必要があります。花粉の観測は、一般的には「ダーラム法」という手段で行われています。
ダーラム法とは、ワセリンを薄く塗ったスライドガラスを屋外に24時間置いて、付着した花粉の種類と個数を顕微鏡で数えるという方法。スギ花粉の大きさは直径約30マイクロメートル、小さな粒をひとつひとつ地道に数えるのは時間がかかるため、情報の更新は1日に一度が限度です。このため、最近では民間の気象情報会社が独自に開発した、自動で計測できるロボットも注目されています。
今年は昨シーズンよりも覚悟が必要!? 花粉の量はどう予測する?
花粉の飛ぶ量は多い年と少ない年があり、気象条件などによって変動があります。花粉の「当たり年」と呼ばれる年は、特に症状がひどく外に出るのも一苦労という人も少なくないでしょう。春は毎年、辛いとはいえ、大まかな傾向を知れたら対策も取りやすくなりますが、その年に飛ぶ花粉の量は、どのように予想しているのでしょうか?
実は花粉の予測は、前の年の夏の天候がカギを握っています。一般的に、前年の夏に日照時間が多く、気温が高かったときは、光合成が盛んに行われ、花粉を出すスギの雄花が多く形成されるため、翌年の春に飛ぶ花粉の量が多くなるといわれています。
逆に冷夏や長雨だった場合は、花粉の量が少なくなる傾向があります。よく晴れて暑さが厳しい夏の後に迎える春は覚悟が必要だと考えておくといいでしょう。さらに、こうした前年夏の気象条件と、秋にスギ林で調査された雄花の着花量データを組み合わせることで、花粉の予測精度が上がるといわれています。
日本気象協会の予測では、去年の夏は平年に比べて気温が高く、日照時間も平年並みか多かったことから、ことしは東海・関東~北海道で昨シーズンに比べて、花粉の飛ぶ量が多くなる見込みです。スギ、ヒノキ花粉の飛散は例年、5月の大型連休頃まで続くため、花粉症の人はしばらくは覚悟が必要です。
花粉の飛びやすい天気とは? ピークは1日に2回ある
特に花粉の飛びやすい気象条件は、雨上がりによく晴れて、気温が高く、風が強いことです。春は日本付近を低気圧と高気圧が数日ごとに通過することが多いため天気が変わりやすく、「春一番」に代表されるように風が強まりやすい季節です。暖かい季節になると屋外で過ごす機会が増えますが、天気予報をこまめに確認して、できる限りの対策を取りたいですね。
また、花粉の飛ぶピークは1日に2回、昼前後と日没後にあります。一度目は、気温が上がって午前中にスギ林から飛び出した花粉が都市部に到達するためで、二度目は上空に上がった花粉が、日が暮れてから地上に落下してくるためと考えられています。なかなか難しいことではありますが、症状がひどい場合はピークの時間帯を避けて外に出ることをおすすめします。
花粉症対策であなどれない、メガネの効果
花粉症の症状を少しでも和らげるために、マスクなどで花粉をなるべく体内に取り込まないことはもちろん、外に干した洗濯物を取り込むときにもよく払うなど気を付けましょう。意外に高い効果があるのがメガネです。
普通のメガネでも、メガネを使用しない場合に比べて、眼に入る花粉の量は約40パーセント減少し、防御用カバーの付いた花粉症対策用のメガネでは約65パーセントも減少します。普段はコンタクトレンズを使用している人も多いと思いますが、コンタクトレンズによる刺激がアレルギー性結膜炎の症状を悪化させる可能性があるため、花粉の季節はなるべくメガネに変えたほうがよさそうです。
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