「ラニーニャ現象」が発生すると日本への影響は?
本州でも初雪の便りが届き、いよいよ本格的に寒さが厳しくなる季節に突入しました。今シーズンの冬の大きな特徴は「ラニーニャ現象」が発生していることです。ラニーニャ現象とは、南米・ペルー沖の海面水温が平年よりも低い状態が続く現象です。
赤道付近では、「貿易風」とよばれる東風が年間を通して吹いています。このため、太平洋熱帯域では、東風により暖かい海水がインドネシア近海の西部に吹き寄せられます。一方で、東部のペルー沖では東風と地球の自転の影響により、海の深いところから冷たい海水が湧き上がるため、海面水温が低くなります(図1)。
【平常時】
【ラニーニャ現象時】
過去の「ラニーニャ現象」発生時は関東で大雪に
過去にラニーニャ現象が発生した年の冬の天候を振り返ると、統計的には目立った特徴はないものの、厳しい寒さや大雪となった事例があります。たとえば、前回ラニーニャ現象が発生していた昨シーズンの冬は、北陸などで大雪となり、大規模な車の立往生が発生しました。昨年12月15日から16日にかけて、新潟県・湯沢や群馬県・藤原では24時間の降雪量が1mを超え、観測史上1位の記録的な大雪になりました。関越自動車道では長期間に渡る通行止めが続き、約2100台の車両が巻き込まれるなど大きな影響が出ました。また、2017年から2018年にかけての冬もラニーニャ現象が発生しました。大陸からの強い寒気の流れ込みが相次いだため、全国的に気温が低くなり、西日本では32年ぶりの厳しい寒さとなりました。冬型の気圧配置となることが多く、福井県福井市では37年ぶりに140cmを超える積雪を観測し、道路の通行止めや鉄道の運休、航空機の欠航などの交通障害や除雪作業中の事故が多発しました。また、関東でも南岸低気圧が通過した際は、広い範囲で大雪となり東京都心でも1月22日に23cmもの雪が積もりました(図5)。
今シーズンの冬は西・東日本で厳しい寒さに
この冬は、日本付近に北からではなく、西まわりで寒気が流れ込みやすい傾向が出ています。
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