日本列島に活火山はいくつある?阿蘇山、海底火山、頻発する「噴火」への備え【気象予報士が解説】

先月、熊本県の阿蘇山で噴火が発生しました。日本には北海道から沖縄まで数多くの活火山があり、登山に人気の山も多く含まれています。気象庁が発表する「噴火警戒レベル」など登山の際に確認したい情報や身に付けておきたい知識について解説します。

火山の噴火により発生する災害とは?

火山が噴火した時には、火山灰や火砕流の発生、噴石の飛散などの現象が突発的に起きるおそれがあります。特に火山の噴火に伴い空から降る火山灰は、交通や農業、健康への被害など周辺の地域にさまざまな影響を及ぼします。火山灰が道路に降り積もると、スリップ事故を引き起こしたり、車が通行不能になったりします。電柱に火山灰が付着して、停電が発生する可能性もあります。また、火山灰はぜんそくの症状を悪化させたり、健康な人でも目や鼻・のど、気管支などの呼吸器に影響を与えたりするおそれがあります。

このほか、噴火によって火山灰や噴石が堆積した場所で雨が降ったり、せき止められた川の水が再び流れたりすると土石流が発生します。さらに、火山活動が活発になると、火山周辺では地震が引き起こされることもあるといわれています。
 
雪が多く積もっている時期に噴火が起きると、積もった雪が一気に解けて麓を襲う融雪型火山泥流が起きるおそれがあるため、これから迎えるスキーシーズンも油断はできません。
 

活火山への登山には「噴火警戒レベル」の確認を

残念ながら活火山に絶対の安全はありませんが、気象庁では今どの程度危険なのかを知らせる「噴火警戒レベル」を発表しています。噴火警戒レベルとは、火山活動の状況に応じて「警戒が必要な範囲」と私たちの「とるべき対応」を5段階のキーワード(「避難」、「避難準備」、「入山規制」、「火口周辺規制」、「活火山であることに留意」)で示した情報です。ただ、レベルが低い場合でも、突然活動が活発化し噴火が始まる場合もあるため注意が必要です。 
活火山の噴火警戒レベル 出典:気象庁ホームページ
噴火警戒レベル 出典:気象庁ホームページ
登山するときは、その山が活火山かどうか把握し、最新の情報を集めるようにしましょう。気象庁の「火山登山者向けページ」から、噴火警戒レベルなど火山活動に関する情報のほか、火山防災マップにより、各火山のレベルごとに起こりうる噴火現象や、どの範囲にどんな現象が起こるのかを知ることができます。ヘルメットやゴーグル、マスク、防寒着、ラジオなどを携帯し、必ず備えをするようにしてください。
 
火山は温泉や風光明媚な風景を生み出すなど、私たちの生活と密接なつながりを持っています。山から見る美しい風景には、実際に現地を訪れることでしか体験できない感動があります。活火山への登山や周辺の地域へ観光に行く際には、正しい知識や情報を得ることで、適切に備えるようにしましょう。


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