TV版と旧劇場版。過去2度の終わりも昇華させた「真の完結編」へ
シン・エヴァの後半では、シンジが合流したヴィレと、ゲンドウ率いるネルフとの最終決戦に突入。
TV版と旧劇場版、過去2度の終わりと重なる部分にシン・エヴァだけの新たな展開も追加され、まさに真の完結編へと呼ぶにふさわしいものへと昇華されていきます。
戦いの火蓋を切ったのは、旧南極の上空で繰り広げられる「宇宙戦艦ヤマト」を思わせる戦艦バトル! ネルフの冬月副司令と、かつての部下であるヴィレメンバーが戦うという構図は痺れましたね。
今までゲンドウの影に隠れてきた冬月先生の強さが観れたのも嬉しかったです。Qまでは「将棋の先生」でしかなかったもんな……。
さらに、ヴィレの新2号機・改8号機と、ネルフのMark.07との壮絶な空中戦! 旧劇場版の量産型エヴァシリーズとの戦闘も素晴らしかったですが、あれから24年。何倍も凶悪になった髑髏のデザインと、何万倍もの恐ろしい物量で襲ってくるMark.07軍団との戦いは本当に圧巻でした。
そしてここで、戦艦やエヴァではない「人間同士の戦い」が描かれます。ヴィレメンバーの前に生身で現れたゲンドウ。真っ先に発砲したのはリツコさんでした。旧劇場版では撃つ前にゲンドウに射殺されていたので、その復讐を果たした形に!
しかし、すでに「ネブカドネザルの鍵」によって人ではなくなっていたゲンドウは死なずに、初号機・13号機と「マイナス宇宙」へ去っていきました。
それぞれの人生を変えた「ニアサードインパクト」の遺恨
ゲンドウを追いかけようとするシンジ。拳銃を向けてそれを止めたのは「ニアサー」のせいで家族を失った北上ミドリでした。
優しすぎた「第3村」の人々とは違い、彼女はシンジの罪を許していません。落とし前をつけに行く前に、シンジが乗り越えなくてはいけない相手です。
しかし、ミドリよりも先に撃ってきたのはトウジの妹・鈴原サクラでした。彼女はミドリよりもさらに複雑。確かにシンジは家族を殺された仇ですが、それ以前の市街戦で自分を救ってくれた「憧れのヒーロー」でもある。
劇中でシンジのことを「碇さん」と敬称で呼ぶのは彼女だけです。そんな愛憎入り混じる思いから、シンジをエヴァに乗せないため、怪我をさせようと発砲してきました。
それを身を挺して庇ったのは、ミサトさんでした。あのときシンジが「ニアサー」を起こしてなかったら、どっちにしろ人類は滅んでいた、とミドリとサクラを説得します。
……いやなんでそれを「Q」で言わないんだよ! 観客全員が心の中でそうツッコんだことでしょう。
しかしシンジはちがいます。「ミサトさんが背負ってるもの、半分もらうよ」大人すぎる……!
もはや精神年齢がストップ高のシンジは、ゲンドウを追いかけるため、マリの8号機に同乗して「マイナス宇宙」へ。いよいよ物語はクライマックス、そして完結へと向かっていきます。
マリの8号機がなぜ「マイナス宇宙」へ行けるのか。それは先ほどのバトルで「アダムスの器」Mark.09-Aを捕食して「オーバーラッピング」したからです。
シン・エヴァのタイトル前、パリのユーロネルフを復旧させた際にマリが「これでオーバーラッピング対応型8号機への改造ができる」と言っていたのはこのことでした。
さすがゲンドウを「くん」付けで呼ぶマリさん。なんでもお見通しなんですね……!