「日本語は上手じゃないけど、とても優しい子……」85歳女性がコンビニ本部に電話した理由

毎日約600件の電話やメールが届くコンビニのお客様相談室。厳しい罵倒に涙する日もあれば、「あの店員さんを褒めてほしい」という温かい感謝が届くことも。コンビニ本部で30年のキャリアを持つ著者が明かす、届いた「声」の行方とは。(画像出典:PIXTA)

※本記事で紹介している商品の購入やサービスの利用により、売上の一部がオールアバウトに還元されることがあります。

電話を受けたあとにも、相談室の仕事は続く

通話を終えると、谷本さんは端末の「お褒めの言葉」の欄にチェックを入れました。

店名、スタッフの特徴、女性が話した内容。一つずつ、丁寧に入力していきます。レポートを印刷し、担当部署へ回すためのボックスへ入れました。

お客様相談室の仕事は、こうして、電話で受けた声を社内へ届けるところまで続きます。

苦情なら、何が起き、どこを確認する必要があるのかを伝える。安全に関わる指摘なら、急いで対応につなげる。感謝の電話なら、誰のどんな行動が喜ばれたのかを、届く形で残す。

電話口の担当者は、店での出来事を直接見ているわけではありません。だからこそ、相手の話を丁寧に聞き、分かったことと確認が必要なことを整理しなければなりません。一方の話だけで、店やスタッフの対応を決めつけないことも大切です。

私は、お客様相談室には、届いた声を次の行動につなぐ役割があると考えています。そのためには、電話を受ける人の努力に加え、報告を受けた店舗や部署が動くことも欠かせません。

85歳の女性の「あの子を褒めてほしい」という願いも、記録され、担当部署へ渡されて初めて、本人に届く道筋ができます。

谷本さんがレポートを置くと、次の着信ランプが光りました。ヘッドセットをつけ直し、受信ボタンを押します。

「お電話ありがとうございます。お客様相談室、谷本が承ります」

次に届くのは、問い合わせか、苦情か、それとも感謝の言葉か。その声を聞き、必要な人へつなぐ仕事が、今日も続いています。
店長、パスタに箸をつけたらお客様がキレました。 コンビニで働く外国人たちと店主一家の23年
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この書籍の執筆者:村尾信一 プロフィール
1967年大阪生まれ。セブン‐イレブン・ジャパンに30年間勤務し、店舗指導の責任者やお客様相談室など幅広いマネジメントを歴任。2025年の退職後は(株)Hands UP取締役として若手育成に携わる傍ら、執筆活動を展開。『鈴木敏文の遺言』『店長、パスタに箸をつけたらお客様がキレました。』など著書多数。
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