※本記事で紹介している商品の購入やサービスの利用により、売上の一部がオールアバウトに還元されることがあります。
電話を受けたあとにも、相談室の仕事は続く
通話を終えると、谷本さんは端末の「お褒めの言葉」の欄にチェックを入れました。店名、スタッフの特徴、女性が話した内容。一つずつ、丁寧に入力していきます。レポートを印刷し、担当部署へ回すためのボックスへ入れました。
お客様相談室の仕事は、こうして、電話で受けた声を社内へ届けるところまで続きます。
苦情なら、何が起き、どこを確認する必要があるのかを伝える。安全に関わる指摘なら、急いで対応につなげる。感謝の電話なら、誰のどんな行動が喜ばれたのかを、届く形で残す。
電話口の担当者は、店での出来事を直接見ているわけではありません。だからこそ、相手の話を丁寧に聞き、分かったことと確認が必要なことを整理しなければなりません。一方の話だけで、店やスタッフの対応を決めつけないことも大切です。
私は、お客様相談室には、届いた声を次の行動につなぐ役割があると考えています。そのためには、電話を受ける人の努力に加え、報告を受けた店舗や部署が動くことも欠かせません。
85歳の女性の「あの子を褒めてほしい」という願いも、記録され、担当部署へ渡されて初めて、本人に届く道筋ができます。
谷本さんがレポートを置くと、次の着信ランプが光りました。ヘッドセットをつけ直し、受信ボタンを押します。
「お電話ありがとうございます。お客様相談室、谷本が承ります」
次に届くのは、問い合わせか、苦情か、それとも感謝の言葉か。その声を聞き、必要な人へつなぐ仕事が、今日も続いています。 この書籍の執筆者:村尾信一 プロフィール
1967年大阪生まれ。セブン‐イレブン・ジャパンに30年間勤務し、店舗指導の責任者やお客様相談室など幅広いマネジメントを歴任。2025年の退職後は(株)Hands UP取締役として若手育成に携わる傍ら、執筆活動を展開。『鈴木敏文の遺言』『店長、パスタに箸をつけたらお客様がキレました。』など著書多数。



