こうした変化の背景には、いったいどのような事情があるのでしょうか? 現役小学校教諭の松下隼司先生にお話を伺いました。
(質問)
令和の運動会で、練習量が減っているのはなぜですか?(回答)
プログラム自体の削減をはじめ、授業時間の確保や暑さ対策、さらには教員の働き方改革など、複数の要因が重なっています。その背景について、詳しく解説していきます。
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コロナ禍をきっかけに「午前中完結型」が定着した理由
コロナ禍を機に広まった「午前中で終わる運動会」ですが、この形が定着した背景にはいくつかの理由があります。まず大きな要因は、授業時間の確保です。
かつては運動会までの約1カ月間、特別時程を組んで毎日2時間ほどを練習に費やすのが一般的でした。しかし、そのあおりを受けて他の教科の授業時間が削られていた側面があります。
小学校体育の標準授業時数は年間90〜105時間(学年により異なる)と定められており、準備期間の1カ月だけでその約半分を消費してしまう計算になります。
また、普段と異なるスケジュールによる生活リズムの変化に不安を感じる子どもも少なくありません。全ての子どもが安心して登校できるよう配慮する狙いもあります。
次に挙げられるのが、教員の働き方改革です。
文部科学省からも各学校で行事の教育的価値を見直し、精選することが求められています。運動会のスリム化はその一環であり、教育的価値を保ちながら教員の負担を軽減する手法として広く取り入れられています。
そして最後が、子どもたちの多忙化です。
例えば応援合戦の練習などは、かつて休み時間や放課後に子どもたちが自主的に行っていました。しかし近年は、習い事や通塾などで放課後に残れる子どもが減っています。そのため、放課後練習を極力減らし、休み時間だけで仕上げられるよう工夫されているのです。
ICTの活用で進化する練習スタイル。自宅で練習できる時代へ
限られた時間で効率よく練習するため、ICT(情報通信技術)の活用が進んでいます。私もダンスの授業などでYouTubeなどを積極的に取り入れています。以前は教員が振り付けを覚えて教えたり、DVDを再生して見せたりしていましたが、現在はYouTube上の分かりやすい解説動画を参考にしています。私が躍るよりも、その方が振りが正確で上手ですし「よかったら、おうちで練習してね」ということもできます。
さらに、子ども同士がペアになってタブレットで互いの踊りを撮影し合う工夫も行っています。
自分の動きを客観的にチェックしたり、上手な友達をお手本にしたりと、児童同士が協力しながら上達を目指せる環境が整ってきました。データの管理には細心の注意が必要ですが、こうした互いに教え合える練習スタイルはとてもよい傾向だと感じています。



