今回は現役の小学校教師である松下隼司さんに、教頭先生の仕事内容や、管理職が学校全体に及ぼす影響などについてお聞きしました。
(今回の質問)
小学校の教頭先生は、普段どんなお仕事をしているのですか?
(回答)
校長先生の補佐と位置付けられており、“職員室の担任”的な存在としてあらゆる業務をこなしています。
学校内でのマルチプレーヤー兼コーチ的存在な教頭先生
教頭先生は、実は学校の中で一番ハードワークなのではないかと思っています。実際に、教師の中でもっとも早く出勤し、誰よりも遅くに退勤する様子をよく見かけます。仕事内容としては、各学年の学年だよりや学級通信などの内容チェック、給食の検食、学期末には通知表に誤りがないかの最終的なチェックなど、正確性や大きな責任が求められる内容が多いです。それに加えて、子ども同士でのトラブル対応や保護者対応を任されることも少なくありません。
ほかの教師よりも突発的かつ重要な仕事を担っていることが多く、常に自分のスケジュール通りに仕事をこなしていけないのが教頭先生なのではないでしょうか。
また、教師にとっても教頭先生が仕事をする上での拠りどころになっていることが多いです。
放課後、職員室で困ったことや分からないことがあると教頭先生に確認することが多いですし、年度始めの学校の経営方針について、全教師に細かく説明してくれるのも教頭先生です。
まさに、職員室のクラス担任のような存在ですね。スポーツで例えるならば、校長先生は監督、教頭先生はコーチ(時々プレーヤー)という感じです。
教頭や校長によっては「職員室が戻りたくない場所」になることも……学校管理職の資質とは
先ほど話したように、教頭先生はまさに職員室のクラス担任のような存在。そのため職員室の雰囲気は教頭先生や校長先生、つまり管理職に左右されると言っても過言ではありません。職員室の雰囲気があまりよくないと、子どもが帰った後も終業まで自分のクラスで作業をして、あまり職員室に戻らないという教師もいます。
では、どのような管理職だと職員室の雰囲気があまりよくないかというと、「先生たちを管理・監視しよう」という姿勢が前面に出てしまっているタイプ。
職員室で穏やかに仕事をされていたり、優しく声をかけてくださる管理職が多い一方で、「何か問題は起こしてはいないか」と言わんばかりに教師の様子を監視する管理職も中にはいます。
態度だけではなく、実際にトラブルが起こった時に協力的ではない方も、教師の働く意欲をそいでしまいます。
私自身も昔、対応に困った案件があり教頭先生に相談したところ、「そんなこと言われても私は知らないよ」と返されてしまったことがあります。さらには「あともう少しで定年なんだから、余計なトラブルは起こさないでよ」なんて言って突き放す教頭先生の話も聞きました。
相談に対して上司が真摯(しんし)に受け止めてくれない職場では、部下も安心して働くことはできないですよね。そうした雰囲気は教師にも伝染し、子どもの困りごとに耳を傾けないということにもつながります。
つまり、管理職が学校全体の雰囲気を左右していると言っても過言ではないということです。



