「先生の給料はどこへ?」公立学校の教職員、4人中3人が経験する「自腹」の衝撃実態

公立学校の教職員が自分のお金で学校運営を支えている「教師の自腹」問題。4人中3人が何らかの「自腹」を経験したという調査結果がある。この記事では、費目別の自腹発生率と、職種や学校種による違いを紹介しよう。(画像出典:PIXTA)

公立学校の先生の多くが自腹を経験?
公立学校の先生の多くが「自腹」を経験している(画像出典:PIXTA)
公立学校の教職員が自分のお金で学校運営を支えている──この「教師の自腹」問題をご存じだろうか。長時間勤務や教員不足が社会問題となる中、実は「教職員の経済的負担」という、もう一つの深刻な課題が見過ごされてきた。

『教師の自腹』(福嶋尚子・栁澤靖明・古殿真大 著)は、これまでほとんど語られることのなかった教職員の自腹の実態を初めて本格的に調査・分析した書籍である。

著者らが実施した大規模調査の結果によると、4人中3人の教職員が何らかの「自腹」を経験し、授業関連では6割近く、旅費関連では4割近くが自腹を切っているという衝撃的なデータが浮き彫りになっている。

職種や学校種別による詳細な分析から見えてくる、教育現場のリアルな実情を、本書より一部抜粋・編集して紹介しよう。

1年間の自腹発生率

はじめに、2022年の1年でどのくらいの人が自腹をしているのかについてみていこう。

調査では、回答者の4人中3人が2022年度の1年間で自腹をしたことがあると回答している(75.8%、1034人中784人 ※1)。

職別に自腹の発生率(2022年度に自腹があったと回答した人数/回答者数)をみてみると、「自腹発生率(1年間)」の図表のようになる。
自腹発生率
「自腹発生率(1年間)」(画像出典:『教師の自腹』)
小学校でも中学校でも、ほとんどの職で1年間で自腹をした人が8割近くに上っている。自腹をした割合が相対的に少ない職でも、自腹の発生率は高い。中学校の非正規教員で約6割、事務職員で約4割と、決して少なくない割合で自腹が発生していることがわかる。

こうしたデータから、小・中学校の教職員にとって自腹がかなり身近に存在しているものだとわかる。しかも程度の差こそあるものの、どの職の場合にも高い割合で自腹が発生していた。自腹は学校のなかでありふれたものになっているのだ。
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費目ごとの自腹発生率
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