ホワイトカラーは消えるのではなく「削ぎ落とされる」。AIが暴く“思考停止の優等生”の末路

ホワイトカラーの仕事が奪われるともいわれるAI時代、「仕事ができる人」の定義はどう変わるのか? 心療内科医・産業医の海原純子氏が、AIに代替されやすい作業と、実力がなくても「仕事ができる」と錯覚してしまう危うさを解説します。(画像出典:PIXTA)

「消える」のではなく「削ぎ落とされる」

ただし、この議論には1つの誤解がある。

AIが代替するのは、仕事そのものではなく、「仕事の中の一部」である。多くの研究が一致して示しているのは、AIは「タスク(作業)」に置き換わるが、「職業全体」を消すわけではない、という点である。

実際、OpenAIの経済分析でも、短期的に大きな影響を受ける職業は全体の18%程度にとどまるとされている。

またテクノロジーと人工知能(AI)の経済学における世界的な第一人者であり、デジタル経済研究のパイオニアとして知られる経済学者Erik Brynjolfssonらの研究では、AI導入によって労働者の生産性が平均15%向上したことが報告されている。

つまりAIは、「人を排除する技術」というより、人の仕事の中身を変える技術なのである。

では、何が削ぎ落とされているのだろう。

ホワイトカラーの“中心”が空洞化する現象

AIが最も得意とするのは、次のような仕事である。

・情報を集める
・整理する
・書き直す
・形式を整える

いわば、知的だが構造化された作業である。

実際、データ入力や事務処理、文書作成などの仕事はAIの導入によって大きく減少すると予測されている。消えていくのは「思考を必要としない仕事」である。

ここで重要なのは、これらはこれまで「ホワイトカラーの中核」とされてきた仕事だという点である。つまり今起きているのは、ホワイトカラーの“中心”が空洞化する現象である。

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AIで「できたように見える人」が増加? “仕事ができる”と錯覚する危うさ
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