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「この人に手を出すと惨めになる」と思わせる
ポイントは、マウンティングを仕掛けてくる輩に、「この人に手を出すと自分が惨めな気持ちになる」と思わせることです。
「申し訳ありません」を封印し、代わりに「驚きました(貴方の頭の悪さに)」「失笑してしまいました(貴方のその醜さに)」という表情を浮かべましょう。
「いい人」でいることをやめましょう。
「毒を自在に操れる、慈悲深いギバー」であることを心がけるのです。
無礼な輩には、その喉元を優雅に、しかし確実に嚙みちぎる覚悟を持って微笑みかけること。それこそが、聖域の静寂を守り抜く、紳士淑女の真の作法です。
「性善説」という名のディストピア
私たちはしばしば「性善説」を美しいものとして語ります。しかし、現実社会において性善説を貫くことは、フリーライダー(タダ乗りする人々)に自分のリソースを捧げることに他なりません。
「貴方の善性を信じます」という言葉は、裏を返せば「どんなにひどいことをされても罰しません」と言っているのと同じです。
1割の真面目な人間が、9割のフリーライダーを支える世界。それはユートピアなどではなく、絶対にそんなところには生まれたくないディストピアでしょう。
「税金の使途は、政治家の皆様の倫理観にお任せして何も言わずに託します」と言って喜んで納税する人がどこにいるでしょうか。用途を適切にしなかった際の罰則の設計などは、人間の「楽をして得をしたい」という本能を前提にした、リアリズムの産物なのです。
リアリストとしての冷徹さを失ってはなりません。
著者:中野信子(脳科学者、医学博士、認知科学者)
東京都生まれ。東日本国際大学特任教授、京都芸術大学客員教授、森美術館理事。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。フランス国立研究所ニューロスピン勤務を経て帰国。脳や心理学をテーマに、人間社会の事象を科学の視点から解説する。



