単なる「いい人」になるのはやめなさい。脳科学者・中野信子氏が明かす「舐められない人」の作法

頼み事を断れず、悪くなくても謝っていませんか? 脳科学者・中野信子氏が、単なる「いい人」が搾取される理由と、無礼な相手に軽く扱われず、自分を守るための振る舞いを解説します。(画像出典:PIXTA)

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「この人に手を出すと惨めになる」と思わせる

ポイントは、マウンティングを仕掛けてくる輩に、「この人に手を出すと自分が惨めな気持ちになる」と思わせることです。

「申し訳ありません」を封印し、代わりに「驚きました(貴方の頭の悪さに)」「失笑してしまいました(貴方のその醜さに)」という表情を浮かべましょう。

「いい人」でいることをやめましょう。

「毒を自在に操れる、慈悲深いギバー」であることを心がけるのです。

無礼な輩には、その喉元を優雅に、しかし確実に嚙みちぎる覚悟を持って微笑みかけること。それこそが、聖域の静寂を守り抜く、紳士淑女の真の作法です。

「性善説」という名のディストピア

私たちはしばしば「性善説」を美しいものとして語ります。しかし、現実社会において性善説を貫くことは、フリーライダー(タダ乗りする人々)に自分のリソースを捧げることに他なりません。

「貴方の善性を信じます」という言葉は、裏を返せば「どんなにひどいことをされても罰しません」と言っているのと同じです。

1割の真面目な人間が、9割のフリーライダーを支える世界。それはユートピアなどではなく、絶対にそんなところには生まれたくないディストピアでしょう。

「税金の使途は、政治家の皆様の倫理観にお任せして何も言わずに託します」と言って喜んで納税する人がどこにいるでしょうか。用途を適切にしなかった際の罰則の設計などは、人間の「楽をして得をしたい」という本能を前提にした、リアリズムの産物なのです。

リアリストとしての冷徹さを失ってはなりません。

ロンドン紳士と脳科学に学ぶ 品格のあるマウントのとり方
ロンドン紳士と脳科学に学ぶ 品格のあるマウントのとり方
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著者:中野信子(脳科学者、医学博士、認知科学者)
東京都生まれ。東日本国際大学特任教授、京都芸術大学客員教授、森美術館理事。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。フランス国立研究所ニューロスピン勤務を経て帰国。脳や心理学をテーマに、人間社会の事象を科学の視点から解説する。

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