なぜ富裕層はオーストラリアを捨て「ギリシャ・アジア」を目指すのか? 激変する教育移住のいま

子どもの「本物の英語力」を求め、家族で海外移住する富裕層が増加中。国内インターの課題や「投資家ビザ」を活用した家族移住の仕組み、物価高の中で注目のギリシャなど最新事情を専門家が解説。(画像出典:PIXTA)

物価高による移住先の変化。いまなぜ「ギリシャ」が人気なのか

最大の問題は費用です。投資費用に加えて学費や家賃、生活費がかかるため、実際に移住を実現してきたのはかなりの富裕層に限られます。

近年は世界的な物価高も重なり、オーストラリアの不動産価格は2011年ごろの約4倍に高騰。費用面から途中で帰国するケースも少なくありません。

同社の成約件数もピーク時の年間約60件から現在は20〜30件ほどに減っています。しかし、大手銀行が「超富裕層」向けの営業体制を強化しているように資金を持つ層は確実に存在しており、動きが止まったわけではありません。

ただし「金に糸目はつけない」家庭ばかりではなく、最近では節約志向も強まっています。そのため、人気の高かったオーストラリアやシンガポールに代わり、ギリシャ、タイ、マレーシアといった国が注目を集めています。

特に意外な人気を見せるギリシャについて、大森さんはこう解説します。

「もともと商業用だった建物を居住用に転用した物件などを25万ユーロ(約4500万円)以上で購入することで、家族全員が居住できる『ゴールデンビザ』がスムーズに取得できます」

ギリシャでは観光地や街中で英語が通じるうえ、インターナショナルスクールにはかつての日本のように多様な国籍の子どもが集まっています。学費の目安も年間で約185万〜260万円と世界的にもリーズナブルで、質の高いグローバル環境が得られる点が大きな魅力です。

問われる日本の学校教育

教育のための海外移住という流れは今後もなくならないでしょう。しかし課題となるのは、富裕層の子どもとそうでない子どもとの間に生じる英語力の大きな格差です。

これからの時代に英語が不可欠なツールとなるなら、テストの点数だけでなく、現場で本当に役に立つ英語力を育む教育が日本の学校にも求められています。
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前屋 毅
この記事の執筆者: 前屋 毅
フリージャーナリスト
1954年、鹿児島県生まれ。法政大学卒業。立花隆氏、田原総一朗氏の取材スタッフ、『週刊ポスト』記者を経てフリーに。最新刊『学校が合わない子どもたち~それは本当に子ども自身や親の育て方の問題なのか』(青春新書)。ほかに『教師をやめる』(学事出版)、『疑問だらけの幼保無償化』(扶桑社新書)、『学校の面白いを歩いてみた。』(エッセンシャル出版社)、『教育現場の7大問題』(kkベストセラーズ)、『ほんとうの教育をとりもどす』(共栄書房)、『ブラック化する学校』(青春新書)、『学校が学習塾にのみこまれる日』『全証言 東芝クレーマー事件』など。 ...続きを読む
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