都から「辞めないで」と懇願されるも補助金はギリギリ…夜間働く親たちの“最後の砦”が直面する危機

「夜に子どもを預けるなんてかわいそう」……そんな冷ややかな世論に隠された、夜間保育を必要とする親たちの切実な現実。批判を浴びながらも20年間現場を守り続ける施設長の葛藤と、社会が目を背ける「制度のひずみ」とは?

仮眠なしの15分おきチェック、パズルのようなシフト調整

夜9時に子どもたちが就寝した後も、保育士の仕事は終わりません。深夜にお迎えに来る保護者への対応に加え、子どもの年齢によっては5〜15分おきに睡眠状態(呼吸チェックなど)を確認します。合間には掃除やおもちゃの消毒があり、仮眠時間は一切ありません。

これほど過酷な現場でありながら、夜勤手当は通常の25%増程度。若い担い手はなかなか集まらず、他園を定年退職した60代のベテランに支えられているのが現状です。

さらに、昼の保育から夜の保育へとつなぐ「午後1時〜午後10時」のシフトの穴埋めは、まるでジグソーパズルのように困難を極めているといいます。

行政の視線と、夜間保育のこれから

これほど大変な思いをするのであれば、夜間保育から撤退するという選択肢もあったはずです。実際、ドリームも辞めることを考えたことがありました。

「そうしたら東京都から『止めてもらっては困るので、補助金を出すから続けてくれ』と言われて今も続けています」

しかし、支給される補助金は決して十分な額ではなく、経営は常にギリギリです。行政も夜間保育の必要性は理解しつつも、利用者の圧倒的に多い「昼間の保育施策」への投資を優先せざるを得ないのが現実なのでしょう。

夜間保育を必要とする親子は、今も確実に存在しています。しかし、ドリームのような公的補助のある認証保育園が増えない以上、多くの親子は経済的負担の重い「無認可保育園」を頼るしかありません。

その無認可保育園も、景気の悪化と利用者減少の波に飲まれ、夜間保育から撤退するケースが後を絶ちません。

「夜間に働く親の自己責任」として、このまま夜間保育の網の目を縮小させてしまってよいのでしょうか。行き場をなくした子どもたちが繁華街の片隅に取り残されるのが、再び普通の光景になってはいけないはずです。

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前屋 毅
この記事の執筆者: 前屋 毅
フリージャーナリスト
1954年、鹿児島県生まれ。法政大学卒業。立花隆氏、田原総一朗氏の取材スタッフ、『週刊ポスト』記者を経てフリーに。最新刊『学校が合わない子どもたち~それは本当に子ども自身や親の育て方の問題なのか』(青春新書)。ほかに『教師をやめる』(学事出版)、『疑問だらけの幼保無償化』(扶桑社新書)、『学校の面白いを歩いてみた。』(エッセンシャル出版社)、『教育現場の7大問題』(kkベストセラーズ)、『ほんとうの教育をとりもどす』(共栄書房)、『ブラック化する学校』(青春新書)、『学校が学習塾にのみこまれる日』『全証言 東芝クレーマー事件』など。 ...続きを読む
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