都から「辞めないで」と懇願されるも補助金はギリギリ…夜間働く親たちの“最後の砦”が直面する危機

「夜に子どもを預けるなんてかわいそう」……そんな冷ややかな世論に隠された、夜間保育を必要とする親たちの切実な現実。批判を浴びながらも20年間現場を守り続ける施設長の葛藤と、社会が目を背ける「制度のひずみ」とは?

「優しくするほど依存された」過去の痛烈な経験

一方で、園側もただ優しく甘えさせているわけではありません。入園時には「時間を守らない場合は児童相談所や子ども家庭センターに連絡する」という契約を厳格に交わしています。それは、過去の痛烈な経験から学んだ結果でもありました。

「以前、ある保護者から『自殺する』と連絡があり、自宅に駆けつけたことがありました。未遂で済みましたが、当時はどこまでも親子のために尽くすのが自分の責任だと思っていたんです。

でも、こちらが優しくすればするほど保護者は私に依存し、自殺未遂を繰り返すようになってしまった。そのとき、自分の仕事を見極める必要があると知りました。私たちは医療従事者ではないのだから、カウンセリングなどは専門家に任せなければいけない、と」

保育士が燃え尽きてしまっては、子どもたちを守ることはできません。現在は児童相談所や子ども家庭センター、警察など外部の専門機関と連携する体制を整えており、幸いにもそうした深刻な事例は減っているそうです。

「家」ではなく、あくまで「保育園」であるための配慮

アルバイトから始めてすぐに正社員になり、20年間この仕事を続けている野村さん。なぜ続けられるのかを尋ねると、「子どもたちのためにやらなければいけない、という使命感ですかね」という答えが返ってきました。

その裏で、自身の家族には寂しい思いをさせてきたという葛藤も抱えています。

「自分の家族には迷惑をかけてきたと思いますよ。私は母親と暮らしていて、子どもたちの面倒を見てもらうことができたので続けて来られましたけど、『私たちが病気でも、お母さんは仕事に行っちゃったよね』と、いまだに成人した子どもたちに言われています」

自分たちの家族に寂しい思いをさせてでも守ってきた現場。だからこそ、夜間保育の在り方には細やかな配慮がなされています。

ドリームの夜間保育は夜10時から翌朝6時までですが、子どもたちの登園時間はもっと早く、夜7時半〜8時の夕食を園内で食べる子が大半です。

しかし、ドリームではあえて「お風呂」の提供を止めています。

「ご飯もお風呂もここで済ませてしまうと、子どもにとってここが『家』になってしまうからです」

お風呂まで入れていた時期は、園を家だと勘違いし、親が迎えに来ても「帰らない」とぐずる子が少なからずいたそうです。それは親子関係としてよくないという、保育園側のあえての配慮です。

また、ドリームは24時間保育の看板を掲げていますが、同一の子どもを24時間連続で預かることはしません。昼も夜も同じ場所で過ごすのでは気分転換ができず、子どもたちにとっての負担が大きくなってしまうからです。

昼は別の園に通うことをルールとすることで、少しでも「親子の時間」を確保できればという思いもあります。

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時給25%増でも若い担い手がいない。「ジグソーパズル」と化す過酷なシフトの裏側
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