【倍率17倍の衝撃】爆発する公立中高一貫ブーム、全国初の「公立大附属」に隠された“思惑と大誤算”

名古屋市立大学が新設する公立中高一貫校。「受験勉強からの解放」を掲げる市長の公約の裏には、優秀な生徒を早期に囲い込みたい大学側の思惑が見え隠れします。過熱する中学受験の現場で、“理想の学校”は本当に誕生するのでしょうか。(画像出典:PIXTA)

「学力向上」か「偏差値からの脱却」か

さらに、この学校が本当に「優秀な生徒の囲い込み」につながるかどうかも不透明です。

中高一貫教育によって高い学力を身につけた生徒たちが、高校卒業時にスンナリと名市大へ進学してくれるとは限りません。

市立高校の推薦枠が敬遠されたのと同じように、結局は他大学へと受験の矛先を変えてしまう可能性が十分にあります。もし「名市大への内部進学」を義務づけるようなルールを作れば、今度は優秀な受験生自体が集まらなくなるというジレンマに陥ります。

中日新聞によると、広沢市長はこうも述べたと言います。

偏差値偏重ではなく、子どもの幸せを中心にすえた学校をつくりたい

今、中高一貫校がこれほど求められているのは、皮肉にも「偏差値偏重の大学受験に有利だから」です。その本質を否定する学校が、果たしてどれほどの支持を集めるのでしょうか。

もし、この学校が言葉通り「偏差値偏重ではない新しい教育」を本当に実現できるのなら、過熱する愛知県の中学受験に一線を画し、日本の教育そのものに一石を投じる存在になるはずです。

しかし、ふたを開けてみれば「ただ難関大合格を目指すだけの中高一貫校」に落ち着いてしまうのであれば、それは中学受験の競争をさらに過熱させる存在にしかならないでしょう。

名市大の新設校がどのような姿を現すのか。それは一地域の問題にとどまらず、これからの「公立中高一貫校の在り方」、ひいては日本の教育の未来を占う試金石として、非常に興味深いテーマと言えます。
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この記事の執筆者:前屋 毅 プロフィール
1954年、鹿児島県生まれ。法政大学卒業。立花隆氏、田原総一朗氏の取材スタッフ、『週刊ポスト』記者を経てフリーに。最新刊『学校が合わない子どもたち~それは本当に子ども自身や親の育て方の問題なのか』(青春新書)など著書多数。
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