【倍率17倍の衝撃】爆発する公立中高一貫ブーム、全国初の「公立大附属」に隠された“思惑と大誤算”

名古屋市立大学が新設する公立中高一貫校。「受験勉強からの解放」を掲げる市長の公約の裏には、優秀な生徒を早期に囲い込みたい大学側の思惑が見え隠れします。過熱する中学受験の現場で、“理想の学校”は本当に誕生するのでしょうか。(画像出典:PIXTA)

先行する県立校を凌ぐ、名市大附属校の「強み」

現在、愛知県内では公立中高一貫校の人気が爆発しています。県立高校の附属中学校が2025年4月に4校開校し、さらに翌年にも追加開校するなど、ブームは過熱する一方です。

毎年のように東大合格者を出す名門・県立明和高校の附属中は、初年度の入試で競争率17倍という驚異的な数字を叩き出しました。 

これほどまでに公立中高一貫校が人気を集めるのは、6年間の計画的なカリキュラムによる高い受験指導力が期待できるからです。

しかし、先行する県立高校の附属中の場合、高校進学時に外部からの受験組が合流するため、生徒間の学力差などから「中高一貫の強みを100%生かしきれないのではないか」という懸念する保護者の声もあります

その点、今回計画されている名市大の附属校は、高校からの生徒募集を行わない完全な「中等教育学校」になると報じられています。

途中で外部生が加わらないため、「本当の一貫教育による効果的な受験指導が受けられる」と、保護者たちの期待は県立以上にはね上がっているのです。

殺到する受験生と、市長の公約がはらむ矛盾

これほどの好条件がそろった新設校が参入するとなれば、愛知県内の中学受験がさらに熾烈(しれつ)を極めるのは言うまでもありません。多くの受験生が殺到すれば、当然、厳しい選抜を行わざるを得なくなります。

ここで1つの矛盾が生じます。

広沢市長は「受験勉強に追い立てられない場を」と語っていますが、志望者が殺到すれば、中学への入学段階(わずか12歳)で、これまで以上に過酷な受験勉強に追い立てられることになります。

市側は「受験競争の低年齢化につながらないよう、選考方法を工夫する」と説明していますが、具体的な案は不明なままです。もちろん、それが実現できれば素晴らしいことですが、そのような選考方法があるのかどうかは疑問です。
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本当に「脱・偏差値」は可能なのか? 新設校が抱える真の課題
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