恵比寿始発「鉄道雑学ニュース」 第124回

南海電鉄の新・観光列車「GRAN 天空」は“高野線の救世主”となれるか。100年ぶりサービス復活の勝算

2026年4月24日、関西の大手私鉄・南海電鉄の新しい観光列車「GRAN 天空」が華々しくデビューした。この列車は大阪ミナミのターミナル駅・なんばから高野山の麓の駅・極楽橋駅を1時間半ほどで結ぶ新しい趣向の車両だ。その誕生の背景を探ってみた。

なんば駅直通には壁も。まるで別路線のような高野線の「2つの顔」

グラン天空
極楽橋駅に停車中の「GRAN 天空」
南海高野線は、大阪中心部から橋本駅までと、橋本駅から極楽橋駅までの区間では、まるで性格が異なり別の路線と考えた方がいいようにも思える。

前者は複線の通勤通学路線であり、車長20m級4扉の通勤型車両が主力だ。一方、橋本駅~極楽橋駅は単線の山岳路線で急勾配急カーブが連続し、登山電車並みの50パーミルという勾配を上下する。

車両も車長17m級2扉という小ぶりなもので、普通列車は現在、橋本駅以北には乗り入れていない。特急や観光列車以外は橋本駅で乗り換えなければならないのだ。

山岳用の車両を、あえて過密な通勤路線であるなんば駅まで直通させるという、車両運用のハードルを乗り越えての「GRAN 天空」運行でもある。

観光列車は、生き残り戦略。通勤客減少に悩む沿線のシビアな現実

なぜ南海電鉄がここまでして高野山への観光列車に力を入れ、新たな収益源を探るのか。その背景には、高野線のもう1つの顔である通勤路線エリアでのシビアな現実がある。

橋本駅以北は通勤通学路線ではあるが、近年の人口減少が鉄道会社にとっては悩みの種だ。高野線沿線の複数個所に大規模開発の団地があるものの、少子高齢化の影響は顕著である。

関西でも首都圏でも、郊外の瀟洒(しょうしゃ)な一戸建てマイホームで育った子どもは学校を卒業し社会人となると親元を離れ都心に近い場所でマンション生活をする例が多くなっている。

長時間の混雑した電車での通勤を嫌う傾向が顕著だ。鉄道会社にとって、これは収益減少にもなり由々しき傾向である。
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「GRAN 天空」がもたらす新たな可能性
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