なんば駅直通には壁も。まるで別路線のような高野線の「2つの顔」
前者は複線の通勤通学路線であり、車長20m級4扉の通勤型車両が主力だ。一方、橋本駅~極楽橋駅は単線の山岳路線で急勾配急カーブが連続し、登山電車並みの50パーミルという勾配を上下する。
車両も車長17m級2扉という小ぶりなもので、普通列車は現在、橋本駅以北には乗り入れていない。特急や観光列車以外は橋本駅で乗り換えなければならないのだ。
山岳用の車両を、あえて過密な通勤路線であるなんば駅まで直通させるという、車両運用のハードルを乗り越えての「GRAN 天空」運行でもある。
観光列車は、生き残り戦略。通勤客減少に悩む沿線のシビアな現実
なぜ南海電鉄がここまでして高野山への観光列車に力を入れ、新たな収益源を探るのか。その背景には、高野線のもう1つの顔である通勤路線エリアでのシビアな現実がある。橋本駅以北は通勤通学路線ではあるが、近年の人口減少が鉄道会社にとっては悩みの種だ。高野線沿線の複数個所に大規模開発の団地があるものの、少子高齢化の影響は顕著である。
関西でも首都圏でも、郊外の瀟洒(しょうしゃ)な一戸建てマイホームで育った子どもは学校を卒業し社会人となると親元を離れ都心に近い場所でマンション生活をする例が多くなっている。
長時間の混雑した電車での通勤を嫌う傾向が顕著だ。鉄道会社にとって、これは収益減少にもなり由々しき傾向である。



