自立心が強い人ほど「孤独」という罠(わな)にはまる
心理学でよく知られているマズローの欲求5段階説では、下から「生理的欲求」「安全・安心の欲求」「社会的欲求」「承認欲求」、そして「自己実現欲求」と積み上がっていく構造です。優秀だったのにつぶれる人は、心理的な2〜4段階目の3つの欲求「安心・安全の欲求」「社会的欲求(つながりの欲求)」「承認欲求」が満たされないまま毎日を過ごしているのです。
また、経済的に自立しており、物理的には満たされていることが多い一方で、勝ち続けなければならないプレッシャーから心が休まらず、周囲を競争相手のように感じて心を許せる仲間がいないことも少なくありません。
そして、優秀な人ほど自立心が強く、1人で何でもできるため、他人に頼る必要性を感じにくく、結果として孤独になってしまうのです。
しかし、それはともすると健全な自立心のレベルを超え、人間が本能として持っている「つながりたい」という欲求が麻痺(まひ)してしまうことにもなるのです。
その結果、つぶれそうになったときに支えとなるセーフティーネットが自分の人生から存在しなくなってしまうのです。これは26歳当時の私がうつ病になったプロセスそのものでした。
なぜ、心に「強制終了」が起こるのか
また、本来であれば追い込まれてつぶれてしまう前に「会社や職場を辞める」という選択もあるはずですが、安心感が少なく不安感が強い人ほどその選択肢が持てなくなり、「ここで辞めたら自分のキャリアは終わってしまう」とさらに自分を苦しめてしまいます。その上、承認欲求が強く、仕事や目標が大きくのしかかります。本来は「やりたい」はずの自己実現の領域で、「認められるためにやらなければならない」という感覚に変わってしまうのです。
そうすると、その義務がどんどん積み上がり、喜びがなくなっていく。その結果、いろいろなことに対して意欲がなくなります。食欲、睡眠欲、最終的には生存欲求まで脅かされ、「強制終了」状態となってしまうのです。



