「それダメでしょ」のお説教は逆効果? 池上彰が教える、子どもの「考える力」の育て方

「それ、ダメでしょ」と言い続けるだけで、子どもは善悪を理解できるのでしょうか。自由を尊重するべきか、しつけは抑えつけなのか、子育ての現場で揺れる親の迷い。池上彰氏が示す、これからの時代に必要な「善悪の教え方」とは?(画像出典:PIXTA)

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池上彰の正義感を形作った、名著『君たちはどう生きるか』

子ども向けの絵本や本には、いじめや善悪について考えさせるようなものが多数あります。そういう絵本や本を見つけて子どもに与えるのは、倫理観を教えるために効果的です。

私の場合、小学校6年生のときに吉野源三郎の『君たちはどう生きるか』という本を親が買って渡されました。その中に、いじめの話が出てきます。

上級生から下級生がいじめられることがあり、主人公は友人たちと、「もし上級生からいじめられたら、みんなお互いに守ろうね」という約束をしました。

しかしいざ仲間がいじめられたとき、主人公は出遅れてしまったために出るに出られなくなり、結局怖くて助けに行くことができなかったのです。

その後、みんなとの約束が守れず、いじめに対応できなかったことについて主人公は思い悩みます。

私も自分にひきつけて、「自分がこの立場になったらどうだろうか、自分もみんなを助けるために出て行けないかもしれない。みんなが殴られているところに出て行って、一緒に殴られるなんてできるんだろうか」と考え、すごく悩みました。

また、学校の生徒同士で経済的な格差があって、貧しい家の子が金持ちの家の子からからかわれる現場を主人公が目撃するというシーンもあり、これについても考えさせられました。

今から思えば、『君たちはどう生きるか』という本を通じて、「正義ってなんだろう」「正しい生き方ってなんだろう」と考え、自分の中に正義感というものを形作ったと思います。

今の子どもたちにも、ぜひ読んでもらいたいと思います。本だけでなく、マンガ版も刊行されています。

『君たちはどう生きるか』がまだ難しい年齢の子には、いじめや善悪について考えさせる絵本もありますから、保護者が見つけて子どもに与えることはいいと思います。

親から「いじめはだめだよ」などと言われるよりも、自分でそういう本を読んで、登場人物の気持ちや行動を通じて「正義ってこういうものなんだ」「いじめはいけないんだ」といったことに自分で気付かせるほうが、心に残るはずです。

親の“お説教”より効く? 「本を読まない子」を本好きにする特効薬

とはいえ、親が与えた本は子どもの興味を引かなかったり反発されたりして、読んでくれないということもあるでしょう。

そういうときはぜひ、子どもと一緒に書店に行きましょう。多少誘導して、「こんな本もあるよ」と声かけをしてもいいでしょう。

子ども向けの文庫だったり、イラストの多いノベルズだったりを選ぶかもしれませんが、本に慣れるまではそれでもいいのです。商業出版されている時点で、子どもを悪の道に走らせるような酷い内容のものは、書店には売っていないものですから。

読書を通じて、お説教がましくなく、友人との関係を良好に保つためにはどうすればいいのか、やってはいけないこととは何か、社会のルールとは、といったことが自然と身につきます。

本を読まない子には、小さい子なら親が読み聞かせをする、大きい子には、興味のあるアニメやマンガ、テレビドラマや映画などの、ノベルズ版や原作などを選び、まずは本を読むことに慣れさせるのも有効です。
法で裁けない正義の行方
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君たちはどう生きるか
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この書籍の執筆者:池上 彰 プロフィール
1950年、長野県松本市生まれ。1973年NHK入局。報道記者として多くの事件、災害を担当。「週刊こどもニュース」出演を経て、2005年からフリーに。ニュースをわかりやすく解説するスタイルで世代を超えて支持を得ている。
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