「みんな守っていないルールは守るべき?」
子どもからそんな問いを投げかけられたとき、あなたはどう答えますか。社会のルールがあいまいになり、善悪の“正解”が見えにくい現代、多くの親がこのテーマに悩んでいます。
では、子どもが自分で考え、判断できるようになるには、何をどう教えればいいのでしょうか。
ジャーナリスト・池上彰氏の著書『法で裁けない正義の行方』(主婦の友社)から一部抜粋・編集し、「子どもの自由を尊重する」という名目で親が陥りがちな罠(わな)と、確かな“倫理観”を育てるためのヒントを紹介します。
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「みんな守ってないよ」にどう答える? 親を悩ませる“善悪の基準”
いじめや少年犯罪を減らすには、子ども自身が善悪の判断ができるように大人が導く必要があります。とはいえ、子どもに善悪の判断をどう教えるべきかが難しい、と悩む保護者は非常に多いものです。
例えば小学生の子どもが同級生から悪口を言われて、同じように言い返したというとき、どう教えるべきでしょう。
言われっぱなしでも相手をつけ上がらせますが、言い返せば悪口の応酬になりかねません。どうやって相手にやめさせればいいのでしょうか、あるいは、こちらがどの程度我慢したり許したりすべきでしょうか。
また、友だち同士で家庭のしつけの基準が違うとき、どう説明すればいいのでしょうか。
「その靴下の色は、中学校の校則違反でしょ」と親が注意しても、中学生の子どもが「でもみんなそんなの守ってないよ」と言ってきたとします。子どもの言う「みんな」は、たいてい身近な2、3人ですが……。
「それでも、校則は守りなさい」と言ったところで、「◯◯ちゃんのお母さんは、『そんな校則自体おかしいんだから、靴下は自由でしょ』と言ってたよ。それに、『みんなちがって、みんないい』って詩とかあるじゃん」などと反論されたら、あなたはどう答えるでしょうか。
こうした事柄に対する答えは、ひとつではありませんから、悩むのは当然です。
最終的には、子ども自身が自分の中に善悪の判断基準を持ち、何かあったときにはその都度、悩みながらも自分の頭で「正しいかどうか」を考えられるようになることが理想でしょう。
そうなるまでに、その成長過程を、保護者はどう教え、見守ればいいのでしょうか。
「子どもの自由を尊重する」という名の“放置”になっていないか
子どもに倫理観を教えるのは、学校ではなく、保護者の役目だということを忘れてはいけません。「子どもの自由を尊重する」と言って、しつけをせず、倫理観を教えない親もいます。
しつけを頑張っている親も、「それはだめでしょ」などと日々言っていると、ふと「このしつけは“抑えつけ”ではないか」「今のグローバル社会で、“日本の常識やルール”で子どもをがんじがらめにしてもいいのか」といった迷いも出てくることでしょう。
しかし、その子どもが大人になるまでに学ぶべき倫理観を教えないことは、子どもを放置しているのと同じではないでしょうか。



