傍観者・加害者も“同程度の苦痛”という研究結果…池上彰が親に伝えたい「いじめ」の真実

被害者だけでなく、傍観者や加害者にも深刻な影響が及ぶことが研究で明らかになった「いじめ」。子どもを守るために、大人はどんな視点を持つべきなのか。池上彰氏の著書より、「いじめの前提」と「SNS時代の危険性」を紹介。(画像出典:PIXTA)

「うちの子は大丈夫」が危ない……。いじめは“どこでも起きる”前提で考えるべき理由(画像出典:PIXTA)
「うちの子は大丈夫」が危ない……。いじめは“どこでも起きる”前提で考えるべき理由(画像出典:PIXTA)
「うちの子は大丈夫」「この学校に限って……」その親の思い込みが、いじめの発見を決定的に遅らせることがあります。

さらに今の子どもたちは、対面だけでなくSNSでも人間関係を築く時代。親の見えないところで放たれた何気ない言葉が、相手を深く傷つけるリスクも抱えています。

いじめは被害者だけでなく、「見ているだけの子」の心をも壊してしまう——。

では親は、何を前提に子どもと向き合うべきなのか。ジャーナリスト・池上彰氏の著書『法で裁けない正義の行方』(主婦の友社)から、子育て世代が知るべき残酷な現実と対策を一部抜粋・編集して紹介します。

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「うちの子に限って」は通用しない。いじめは“必ず起きる”と疑うべき理由

残念ながら人間社会では、いつでもどこでも、大人になっても、いじめは起き得るものです。

軍隊のいじめは特に暴力的で、古今東西、世界中の軍隊でたくさん起きています。会社組織でもいじめやハラスメントは起きています。

そのため親や教師は、子どもたちに対して「いじめなんて起きていないはずだ」「いじめに至るのは特殊なケースで、滅多に起きないものだ」などと考えるのではなく、まずは「いじめはどこでも起きるものなんだ」「この学校やクラスでも、いじめは起きているかもしれない」などと、いじめはあるという大前提に立つべきでしょう。

そして、いじめをどうやって早く見つけるか、やめさせるのかに注力をしていくべきです。

子ども同士でのいじめを、親や教師が見つけるのは難しいものです。

子どもは特に親には、「心配をかけたくない」という思いでいじめられていることを告白したがりません。

また加害者側の子どもも、途中で良心の呵責(かしゃく)に苛さいなまれて自分の過ちを大人に伝えようと思ったとしても、自分の都合の悪いことはなかなか言い出せないものです。

被害者だけではない。データが示す「傍観者」や「加害者」の恐ろしい末路

各種の研究によって、いじめの被害者には自己肯定感の低下、不登校による学力や社会的能力の低下のほか、不安や抑うつ、PTSD(心的外傷後ストレス障害。フラッシュバックや睡眠障害、逃避行動などの症状が続く)を発症するなどの影響もあることがわかっています。

アメリカのいじめ問題研究者として知られるアラン・L・ビーン博士は、「小学4年生から中学2年生の25%が、いじめが原因で学力が低下した」という研究結果を1999年に発表しています。

また2004年にはアメリカの研究者グレゴリー・R・ジョンソン博士が「いじめの傍観者も、いじめの被害者と同程度の心理的苦痛を抱く」と指摘しました。

さらに加害者についても、「8歳のときに攻撃的な男子は、大人になってから何らかの犯罪者になる確率が高い」と指摘されています(1987年、レオナード・D・エロン博士、アメリカ)。

つまりいじめは、被害者だけでなく傍観者にも加害者にも、負の影響を与えてしまうのです。

だからこそ学校現場では、一見いじめがなさそうでも「いじめが起きているかもしれない」と考え、対策を行い続けなければならないのです。
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子どもが何気なく使う「あの言葉」が、SNSでは“凶器”になる
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