一刻も早く知りたいのに、先生たちは発表の瞬間まで絶対に教えてくれない。そんな“秘密主義”に不満を感じたことがある人も少なくないかもしれません。しかし、そこには教育のプロならではの深い理由がありました。
今回は、現役小学校教師の松下隼司さんに「始業式の後に先生がしていること」、そして「情報を徹底して隠す理由」についてお聞きしました。
【質問】
新年度の始業式当日、先生たちは裏側でどのような準備をしているのでしょうか。【回答】
発表の瞬間まで情報を一切漏らさないよう、きわめて慎重に動いています。あえて始業式が終わるのを待ってから、大急ぎで荷物を運び込み、数分間で教室を整えるのには深い理由があるのです。どういうことなのか、くわしく解説します。
「自分の荷物」さえ運べない? 徹底して情報を隠し通す理由
新学期初日、始業式が終わるといよいよクラス分けの発表ですね(地域によってさまざまかと思いますが、私が勤務する地域では始業式で各クラス担任の配置を発表し、始業式後に子どもたちのクラス分けを発表します)。始業式が終わってまず急いでするのは、教師自身の荷物を教室に運び込むことです。
「そんなことは始業式前にやっておいたらよいのでは?」と思われるかもしれませんが、この順番が実はとても大事なんです。
というのも、子どもの中には先に荷物を置いてしまうと「この荷物は○○先生のものだ」と気付く鋭い子も。そうなると「3組は○○先生だ!」と始業式前から子どもたちがザワザワしてしまう可能性があります。
正式な発表前から「○○先生が担任らしいよ」「仲よしのあの子とクラスが別になったかもしれない」などという不正確、あいまいな情報が流れてしまうと、子どもたちの間に不安や混乱が伝染してしまうかもしれません。そのため、教師は荷物移動1つにおいても、扱いが慎重になるのです。
新学期初日の“ザワつき”を先生が全力で防ぐワケ
そもそも、先生がクラス分けやクラス担任などの情報を発表のタイミングまで徹底的に隠すのは、こうしたザワザワが起こらないようにするためだと私は捉えています。教師が意図しないタイミングで情報が流出すると、せっかくの新学期初日を混乱の中で過ごすことになってしまい、自己紹介や新しい関係性づくりなど、本来やりたいことが十分にできずに1日が終わってしまう可能性があります。
さらには、ザワザワと落ち着かないことで初日から担任に怒られるなんてことも……。
1人でも多くの子どもが「今年の学校生活も楽しそうだ」という前向きな気持ちで終えられるよう、クラス分けやクラス担任の発表のタイミングはとても大切なのです。



