しかし、学校では先生たちが想像以上に細やかな準備をして、入学式の日にやってくる子どもと保護者を待っています。
現役の小学校教師である松下隼司先生に「入学式前後の1年生の担任のお仕事」についてお聞きしました。
【質問】
入学式前日や当日、1年生の担任の先生は何をしているの?【回答】
子どもたち、そしてその保護者が学校生活にスムーズに入れるような準備をしています。どういうことか、詳しく解説します。
「フジワラ」か「フジハラ」か。名前1文字に込める担任の責任
小学校に期待と不安をもってやってくる子どもたち。担任としてまずやるべきことは、教室のあらゆる場所に“絶対に間違えずに”名前を貼ることです。名前を間違えないのは当たり前のことですが、よくある名前ほど思い込みで読んでしまうことも多いため、慎重に何度も確認します。
例えば「藤原さん」という子がいたとして、「フジワラさん」なのか「フジハラさん」なのかという違いは意外な落とし穴ですから、気を付けていますね。
子どもたちは教室に入って、まず机に貼られた自分の名前を見つけて座席に座ります。そこで自分の名前が間違っていることほど悲しいことはないですから、絶対にミスはできません。
ちなみに、小学校では基本的に出席番号でものの場所や座席を整理することが多いのですが、1年生はまだその仕組みに慣れていないので、とにかくいろんなところにしっかりと名前を明記します。
また、一時期キラキラネームという言葉が話題になりましたが、最近はそういった名前はあまり見なくなったように思います。当て字で響き優先というよりも、漢字の意味や親しみやすさが考えられた名前がたくさんあってすてきだなと思うことが多いです。
トイレもトラブルも「言える関係」を作る第一歩
入学式が終わって教室に入ると、ここで初めて子どもたちとクラス担任として出会うことになります。この出会いの時間の使い方は先生によって異なると思いますが、私の場合は「先生の名前を呼んでみよう」という簡単なやりとりを必ずするようにしています。
理由は、学校内で一番身近な担任の名前を呼び慣れさせることによって、困ったときや不安なときに我慢させることのないようにするためです。
ただでさえ緊張する新しい場所での生活で、身近な大人に助けを求められるかどうかはとても大切です。
例えば「トイレに行きたい」「友達とトラブルになった」など、どんなことでも我慢せず言えるように最初に担任の名前を呼ぶ練習を取り入れています。
「この先生に頼れば大丈夫」ということが分かるだけでも、子どもたちの安心感につながるのです。
また、保育園や幼稚園など女性が多い環境から来る子たちが、男性である私を怖がらないように、という気持ちも込めています。



