仕事の邪魔にならない「ほったらかし投資」の仕組み
本書の「投資」の章で、「ここでの運用は『切った、張った』ではない」と申し上げています。デイトレーダーをはじめ、世の中には「切った、張った」の投資をする人が大勢いらっしゃいますが、その投資法ほど心臓に悪く、危なっかしいものはありません。普通の人なら、「切った、張った」をやっていると、仕事が手につかなくなるでしょう。何しろ、投資したお金が瞬時に増えたり減ったりするのです。「気にならない」人はいません。各企業の株式など個別銘柄に投資しているほど、そうなります。
皆さんには、そのような投資はしてほしくはありません。悠然とかまえ、日々の値動きには一喜一憂しないクールな態度をとってほしいのです。
では、そうなるためにはどうすればいいでしょうか。
まずは、できるだけ個別銘柄への投資は行わないことです。もちろん、趣味の投資までやめてくださいと言っているのではありません。仕事の邪魔にならず、損失を被っても気にならない程度なら、個別銘柄にチャレンジしてみるのもいいでしょう。
しかし、本筋の運用はそれとは違った方式をとってください。
「長期・分散・積立」を、「投資信託」を利用して実践する投資方法が、取り組みやすいでしょう。
短期間の利益を目的にするのではなく、10年、20年単位の「長期」で収益を増やしていく、そんな投資法を心掛けましょう。
相場の暴落は最大のチャンス? 市場に居続ける勇気が果実を生む
ただ、いくらリスクを少なめにとっていても、金融マーケットですからさまざまなことが起こります。2024年8月、一日で日経平均が4000円下がる暴落相場がありました。2025年4月に「トランプ関税」をめぐっても1000円単位で日経平均が値下がりする場面がありました。歴史的な出来事で言えば、2008年のリーマン・ショック後の大暴落はすさまじいまでの値下がりでした。
相場に「暴落」はつきものです。
個別銘柄よりリスクが少ない「投資信託」でもリスクがあります。当然ながら値下がりして元本割れすることもあります。
日々の値動きには一喜一憂しなくても、このような大暴落が市場を襲うと人々の気持ちは揺れ動きます。自分の「お金」がどんどん減っていくのを目の当たりにして、なかには耐えきれずに売却してしまう人も出てくるでしょう。
しかし、「長期・分散・積立」を実践する皆さんにとっては、売却は絶対にノーです。「ドル・コスト平均法」の原理を思い出してください。
値下がりすれば多くの量を買えます。暴落相場はいつかは終わり、反転上昇を始めます。値下がりしている間に多くの量を買えた状態で相場が上昇すると、とてつもない上昇で保有資産が増えていきます。
過去、幾度もこんなことが起きてきました。これがあるからこそ長期投資は収益が大きくなる可能性があるのです。途中で売却してしまっては、果実を得ることはできません。市場に居続けることが長期投資を成功させるコツなのです。
だからこそ、「ほったらかし」が大事です。
毎日の値動きを見ない、日々の収益を気にしない、などを生活習慣にしましょう。投資していることを忘れるぐらいになれば、しめたものです。 ※売上の一部がオールアバウトに還元されることがあります この書籍の執筆者:首藤 由之 プロフィール
特定社会保険労務士、ファイナンシャル・プランナー。
1959年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、朝日新聞社入社。2024年の定年まで、週刊誌『AERA』や『週刊朝日』などで主に経済分野を取材執筆、朝日新書編集長、書籍編集部長などを歴任後、編集委員を務めた。現在は、ファイナンシャルプランナーとしての活動をしつつ、リタイアメント・プランニングを中心に、年金など主に人生後半期のマネー関連の取材、記事執筆を行っている。著書に『「ねんきん定期便」活用法』『「貯まる人」「殖える人」が当たり前のようにやっている16のマネー習慣』(CEメディアハウス)。



