※若干のネタバレを含みます。映画を見ていない人はご注意ください
“オカルト作品に見えない”丁寧に作られた世界観
現在も絶賛上映中の『ほどなく、お別れです』は、「小学館文庫小説賞」大賞を受賞した長月天音さんの同名ベストセラー小説(小学館)が原作。遺族の希望に沿った葬儀を提案し、段取りや会場設営、式の進行などを執り行う“葬祭プランナー”を題材とした作品です。就職活動で失敗し、葬儀会社「坂東会館」にインターンとして入社した新人葬祭プランナー・清水美空を浜辺さんが担当。美空を会社にスカウトし、厳しくも温かく指導する葬祭プランナー・漆原礼二を目黒さんが演じています。 本作の魅力は、原作を丁寧に映像化しているところです。美空は、亡くなった人の声を聴くことができる特殊能力があり、故人と対話することで“最高の葬儀”を作り上げます。
かなりオカルト的な設定ですが、美空が故人と会話できるようになった経緯を分かりやすく紹介し、違和感を払拭(ふっしょく)。そのうえで演出や撮影方法を工夫して、オカルト作品にならないよう、自然な流れで故人と美空の会話を観客に見せています。原作を読んでいない人でもすぐに理解できる脚本で、子どもが見ても楽しめる作品だといえるでしょう。
心を揺さぶる俳優たちの名演技も
同作の監督は三木孝浩さんで、『ソラニン』『アオハライド』『今夜、世界からこの恋が消えても』など、多くの青春映画やヒューマンドラマを手掛けてきた名監督です。『ほどなく、お別れです』でも、感情の機微を丁寧に見せる演出が光っています。豪華な俳優陣による素晴らしい演技が見られるのも魅力です。さまざまな事情を抱えた遺族や故人の役で、志田未来さん、北村匠海さん、原田泰造さん、元乃木坂46の久保史緒里さんなどが出演。さらに、不慮の事故で命を落とした漆原の妻を新木優子さん、美空の家族を鈴木浩介さん、永作博美さん、夏木マリさんが演じています。 特に志田さん、北村さん、永作さんが見せる迫真の演技には注目。この3人が披露する心を揺さぶる演技だけでも、この映画を見る価値は間違いなくあります。



