「皇帝の帰還」EXOが2年半ぶりに復活! 新曲『Crown』から見えてきた“プライド”と“思い”

【K-POPの歴史を作ったグループたちの復活と現在地】K-POP史に革新的な功績を残してきた「EXO」が約2年半ぶりにカムバック! 11年ぶりのグランドスラム達成で見せた「皇帝のプライド」、新曲『Crown』に込められた意味について考えます。※写真:アフロ

M世代の韓国エンタメウオッチャー・K-POPゆりこと、K-POPファンのZ世代編集者が韓国のアイドル事情や気になったニュースについてゆるっと本音で語る【K-POPゆりこの沼る韓国エンタメトーク】。韓国エンタメ初心者からベテランまで、これを読めば韓国エンタメに“沼る”こと間違いなし!
​​​​​​​K-POPゆりことZ世代編集者がゆるっとトーク
K-POPゆりことZ世代編集者がゆるっとトーク
#55からは数回にわたって「K-POPの歴史を作ったグループたちの復活と現在地」をテーマにお届けしていきます。初回は2026年1月に約2年半ぶりの新譜をリリースしたEXO! 不在メンバーもいる中で、「皇帝の帰還」として注目された今回のカムバック、新曲『Crown』に込められた意味とは?

【前回の記事「2025年以降の『K-POP新人グループ事情』」(#54)はこちら

EXOの復活と現在地

約2年半ぶりにカムバックした「EXO」 ※写真:アフロ
約2年半ぶりにカムバックした「EXO」 ※写真:アフロ
編集担当・矢野(以下、矢野):2025年末にK-POPの新人グループについて取り上げましたが、2026年に入ってからは、ベテラングループの話題がたくさん飛び込んできました。EXOの新曲リリース、BTSのワールドツアーや光化門での屋外イベントの話、そして2PMが東京ドーム公演を行うニュースも報じられました。そこで今回から連載内のミニ特集、「K-POP史を作ったグループたちの復活と現在地」と題してトークしていきたいと思います。

K-POPゆりこ(以下、ゆりこ):まずは1月にカムバックしたEXOから取り上げます。すでにこの連載では5回もEXOを取り上げていて、ファンの皆さんからも多くの反響をいただきました。単に私が長年応援しているグループだから、という理由もあるのですが、今取り上げなければ、いつ語るのだ! というタイミングが再びやってきましたよ。

矢野:EXOは今年1月19日に約2年半ぶりとなる新譜『REVERXE』をリリースしました。フルアルバムとしては8枚目ということで、キャリアの長さを実感します。加えて「REVERXE(リバース)」というタイトルも非常に印象的でした。英語の“Reverse(逆行する、覆す)”から来ているのかなと思うのですが、「原点回帰」というような意味も込められているのでしょうね。

メンバーたちも最後まで迷った“SMP”とは?

ゆりこ:全体を通して原点回帰していた部分は大いにありました。アルバムタイトルには「再び新しい世界が開かれる」という意味も込めたそうです。以前EXOの“超能力コンセプト”と“ティザー考察文化”について解説しましたが、今回、数年お蔵入りしていたはずの超能力設定もカムバック。リリース前に意味深なトレイラー映像も公開され、ファンたちが「きっと、こんな意味では?」と考察し始めた様子も、全部ひっくるめて懐かしかったです。
矢野:ティザー映像、怖いというか不気味な感じがしました。SFアニメや映画のような雰囲気もあります。そして、アルバムのメインとなるタイトル曲『Crown』。個人的な感想なのですが、「僕の知っているEXOだ!」と思いました。
ゆりこ:そのご意見はかなり核心をついていると思います。初期のヒット曲を彷彿(ほうふつ)とさせる曲ですよね。最初から最後までこれでもかという重厚感があり、最近のK-POPの中ではちょっと珍しいゴリゴリEDM&アトランタトラップ、そこに加わるサイレンの音。この重い、ドスドス来る感じが彼らの威厳や格を表現しているように思いました。若手には背負いきれない〜!

矢野:イージーリスニングの対極に来る感じですよね。かといって前世代的という印象ではなく、まさにEXOっぽい。

ゆりこ:メンバーたちも「今回“SMP”で攻めるか、別の候補曲でいくか最後まで迷った」と話していました。

矢野:ん? SMPって何でしょうか?

ゆりこ:SMエンターテインメント(以下、SM)独自の楽曲スタイルを「SM Music Performance」、略して「SMP」と呼ばれているんです。例としてはEXOの『MAMA』『Wolf』、東方神起の『Rising Sun』『Keep Your Head Down』、SHINeeの『Sherlock』、NCT 127『Ay-Yo』、aespa『Next Level』あたりが分かりやすいと思います。中でも「NEO・SMP」など時代やテイスト別に細分化して呼ぶパターンもありますが、今回は省略します。

矢野:ミニマルとは対極にある、音数の多い曲ですね。ギターにシンセ、いろいろな音色とジャンルがごちゃ混ぜになっているのに、なぜかイイ感じに成立している(笑)。「昔のK-POPらしいK-POP」のイメージともリンクしているように感じます。

ゆりこ:複雑な展開と転調に、重めのビート。確かに2010年代中盤までのK-POPのイメージとも重なるかもしれませんね。時にファンたちが愛を込めて「トンチキソング」なんて呼んだりしますが、愛される名曲も多いです。ユ・ヨンジンさんという古くからSMにいた著名作曲家が関わる曲に多く見られたのですが、2023年に当時のトップ、イ・スマンさんと同時に退社しています。彼が去ってから3年、こんな見事な“SMPソング”がリリースされるなんて! という驚きがありました。

矢野:今回のEXOは、よくぞ思い切ったなとも思うわけです。今はBLACKPINKメンバーのソロ曲や、CORTISの曲を聞いても、最新の世界的トレンドを融合した曲が多いですよね。音楽市場の中心、アメリカで聞かれている音楽とK-POPの境目がどんどん薄くなっている。そんな中、クラシカルという表現が合っているのか分かりませんが、曲自体も「原点回帰」するのは勇気が要ったのではないでしょうか。

ゆりこ:先ほどの話に戻りますが『Crown』以外の候補曲もすごくカッコよかったそうで、メンバーの意見も半分に分かれたと言います。あくまで予想ですが、真逆の今っぽい曲だったんじゃないかな。そっちでカムバックしたい! と考えるメンバーがいても不思議ではありませんよね。でも、結果的には『Crown』で大成功。
次ページ
一部メンバーの不在と奇跡の再合流。不安定な状況での再出発
Lineで送る Facebookでシェア
はてなブックマークに追加

編集部が選ぶおすすめ記事

注目の連載

  • ヒナタカの雑食系映画論

    『ミルキー☆サブウェイ』は劇場版の追加シーンも重要!『超かぐや姫!』との共通点、愛されるアニメの「正解」とは

  • 恵比寿始発「鉄道雑学ニュース」

    江ノ電20年ぶり新車、謎の「1人掛け席」の正体は? 観光サービスではなく「混雑地獄」に挑む苦肉の策

  • 海外から眺めてみたら! 不思議大国ジャパン

    「移民」に冷たいのはどっちなのか? スイスの厳格過ぎる学歴選別と、日本の曖昧過ぎる外国人政策

  • 世界を知れば日本が見える

    【解説】参政党躍進に“ロシア系bot”疑惑、証拠なく“自民党の情報操作”との見方も