「ダメなら押しかける」24歳の高市早苗、コネなしで米大統領候補へ直談判。運命を変えた一通の返事

政治家を志した24歳の高市早苗は、なぜ単身ワシントンへ向かったのか。松下幸之助の予見、ラグビージャージでの選挙手伝い、そして憧れの米女性議員への体当たりの交渉――。熱き修業時代のエピソードを紹介する。(画像出典:首相官邸ホームページ)

かつて憧れの背中を追った高市早苗は、いま世界のリーダーと肩を並べる存在に
かつて憧れの背中を追った高市早苗は、いま世界のリーダーと肩を並べている(画像出典:首相官邸ホームページ
まだ政治家でもなかった20代の高市早苗は、ある日、一人のアメリカ女性議員に手紙を書いた。返事が来る保証はない。それでも彼女は動いた。つてを求めて永田町の議員会館を端から端まで訪ね歩き、自ら道を切り拓こうとしたのだ。

「世界の大きな変化を、自分の目で見たい」——その強烈な意識が、人生の針路を決定づけた瞬間だった。

のちにワシントンへとつながる、若き日の熱き「直談判」の記録を、『高市早苗 愛国とロック』(飛鳥新社)より一部抜粋して紹介しよう。

高市早苗が「企業」ではなく「政治」を選んだ夜

高市が政治家を志したのは、昭和60年(1985年)。24歳の時だった。

このころ、松下幸之助は松下政経塾に足を運び、1990年代に起こる変化について、主に次の3つを語っていた。

1. 繁栄がアジアに移るから、アメリカ一国だけ見ていてはいけない。
2. 世界の枠組みが変わる。
3. 1990年代以降、日本経済は長期の不況に陥る。


当時はアジアの金融危機が日本に影響することなど考えられなかった。企業はまだそれほどアジアに進出していなかった。ベルリンの壁の崩壊、ソ連の崩壊など、誰も夢にも思っていない時期に、そのようなことを言った。

日本の景気は絶好調だった。高市は松下が何を言っているのかほとんどわからなかったが、のちにどれも現実になった。

松下は経営の視点から景気変動の波を読んできた人だ。本当に1990年代にそのような大きな変化が起こるのであれば、国の根幹、仕組み、安全保障政策、国連対策などの課題も次々と起きる。

その変化を近くで見てみたい。高市は、その夜、企業で働くよりも、国会議員として難問に立ち向かいたいと決意した。

野田佳彦宅で住み込み修行。ラグビー姿でビラ配りの日々

現在、自民党の参議院議員を務める山田宏は、高市早苗経済安保担当大臣ともっとも古くから付き合いのある国会議員の1人だ。

昭和33年1月8日、東京都八王子市で生まれた山田は、京都大学法学部を卒業後、昭和56年に松下政経塾に2期生として入塾。 

山田と高市は松下政経塾の先輩後輩の間柄。40年近い付き合いになる。昭和60年7月、松下政経塾を卒塾した山田は東京都議会議員選挙に挑戦。選挙区は杉並区だった。

昭和59年4月に松下政経塾に入塾した高市は、この時2年生。山田より3期下であった。すでに政治家志望だったので、先輩である山田の選挙を手伝った。

新自由クラブ公認の山田が出馬した都議会議員選挙は、松下政経塾の塾生たちにとっての実質的なデビュー戦だった。

小野晋也が愛媛県会議員選挙で当選していたが、彼は現職県議の後継者として地盤を引き継いでの選挙戦。裸一貫で塾生が挑戦するケースは山田が初めてだった。

「当時の松下政経塾はまったく知名度はありません。私の最初の都議選が政経塾にとって最初の本格選挙だったので、塾生たちが研修として手伝ってくれた。高市さんもそのなかにいました。彼女は活発だったので印象に強く残っています。関西弁で、リーダーシップもありました」

そう振り返る山田の選挙でも高市は活躍した。

「まず名前を売らないといけません。目立つために上はラグビージャージで、下はラグビーパンツ。スパイクまで履き、ラグビーの試合のような格好で選挙をやっていました。高市さんも同じ服装でビラを配ってくれましたよ」

昭和62年には、松下政経塾1期生の野田佳彦が千葉県議選に初出馬した。高市は半年ほど野田のところに住み込みで手伝った。

「金権千葉の政治風土を変えよう」

野田は、毎日、朝夕駅前で訴えた。朝の駅頭活動は今も続けている。高市も毎朝駅前でビラを配り、戸別に訪問し、了解をもらった家の塀に野田のポスターを貼った。野田は、下馬評を覆し、当選することができた。

頑固な野田は牛にたとえられ“牛男”と呼ばれていた。
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画面越しの衝撃。米女性大統領候補への「一目惚れ」
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