その中で、顕著になっているのが「SAPIX一強」から「早稲田アカデミー一強」への流れです。長らく中学受験のトップブランドとされてきたSAPIXの生徒数が減少し、代わりに早稲田アカデミー(以下、早稲アカ)が勢いを増しています。
今回はなぜ今、早稲アカが生徒を集めているのかについて言及していきましょう。
校舎を増やしていく戦略が成功した
早稲アカ台頭の理由の1つは「校舎を増やす」という戦略です。SAPIXが「講師の質を保つために」教室数を限定しているのに対し、早稲アカは都市部から郊外にかけて積極的に新校舎を開設してきました。生徒が通塾にかかる時間を軽減し、自宅近くに選択肢を用意することで、潜在層を着実に囲い込んだのです。
例えば、A駅に住む中学受験生は、電車に乗って大きな街の中学受験塾に通っていました。そこにはSAPIXもあってたくさんの生徒が通っていましたが、通塾に30分はかかります。
小学3年の2月から通塾するならば、最初は1人で電車に乗れないので、親が付き添って塾に通うのに慣れさせる必要があります。
ところがA駅に早稲アカの校舎ができたら、「子どもが徒歩で1人で通える距離だから、そこでいいや」となるわけです。
今、中学受験生の家庭の中心は共働き世帯です。「送り迎えがいらない」は塾選びの大きな決め手になっています。
早稲アカには自習室があり、質問や宿題の対応も随時してくれます。そのため、塾で宿題を済ませて帰宅させることも可能です。これなら、親がつきっきりで勉強を見る必要はありません。
よく「早稲アカは面倒見がいい」と言われますが、実のところ、自習室の完備や質問対応は、日能研や四谷大塚などの他塾では決して珍しいことではありません。
しかし、SAPIXは自習室がなく、質問は授業の後だけなので、それに比べたら早稲アカは利便性が高い塾になるわけです。
全ての生徒を最後まで面倒をみる
また、早稲アカのブランド力を押し上げているのが「NN志望校別コース(NNコース)」の存在です。志望校別に最終的な合格力を鍛える仕組みが整っており、難関校合格実績を継続的に伸ばしています。「NNコースの合格実績の半分はSAPIX生が出している」という声もありますが、それは言い換えると、SAPIX生がわざわざ通うほど早稲アカのNNコースに魅力があるとも言えます。
一方で、早稲アカは上位層だけに手厚いわけではありません。教材としては四谷大塚の難関対策のテキスト「予習シリーズ」を用いつつ、下位クラスの生徒にはオリジナルの補助プリントで授業をし、丁寧にサポートしています。
この、下位クラスの生徒を置き去りにせず、志望校に入れるように最後まで面倒を見る姿勢が評判を呼び、幅広い学力層の生徒を引き寄せています。



