映画『トリツカレ男』に広がる大絶賛の声! 最優先で見てほしい3つの理由を全力解説

映画『トリツカレ男』を最優先で見てほしい3つの理由を全力解説します!事前のキャラクターデザインへの賛否が覆った理由もはっきりとありました。 (C)2001 いしいしんじ/新潮社 (C)2025映画「トリツカレ男」製作委員会

1:賛否あったキャラクターデザインが絶賛へと変わる理由

アニメ映画『トリツカレ男』のキャラクターデザインは、公開前から「クセが強すぎて敬遠されそう」などと、作品を応援している人からも懸念の声があがるほどに個性的です。

そして、実際に本編を見た人からは、「いざふたを開けてみるとキャラにマッチした美術含め映像は眼福モノ」「あの世界観にあの絵柄めっちゃくちゃいいんよ!」など、キャラクターデザインへの事前の賛否の声を踏まえた上で、ほぼ絶賛に染まっているのです。
トリツカレ男
(C)2001 いしいしんじ/新潮社 (C)2025映画「トリツカレ男」製作委員会
確かに、極端なまでに「顔や体つきがカクカクした」「デフォルメされた等身の」キャラクターの見た目は、昨今の「整った」「スラリとした見た目」のアニメのキャラクターとは全く異なります。

しかし、ヨーロッパ風かつ絵本のようにも見える街並みと、後述するミュージカルシーンでの躍動感たっぷりのアニメ表現でこそ、個性役なキャラクターそれぞれが「生きている」ように思えますし、そこには「このキャラデザならでは」のアニメの表現の豊かさと面白さがいっぱいでした。
トリツカレ男
(C)2001 いしいしんじ/新潮社 (C)2025映画「トリツカレ男」製作委員会
ここまでのアニメのクオリティーが実現できたのは、『クレヨンしんちゃん』で知られるシンエイ動画の制作だからこそ、そして『映画クレヨンしんちゃん』の中でも傑作とされる『ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』と『謎メキ!花の天カス学園』で知られる高橋渉監督の手腕も大きいでしょう。

『映画クレヨンしんちゃん』と同様の、ダイナミックな構図でのアクションの迫力のみならず、日常的な場面での細やかな動きやクスッと笑えるユーモアもとっても魅力的です。

なお、キャラクターデザインおよびビジュアルディレクターを担当した荒川眞嗣は、「僕の絵で大丈夫?」と驚いたものの、「大人向けの童話のような作品なら僕のタッチでもできるかもしれない」と思って手掛けたのだとか。
トリツカレ男
(C)2001 いしいしんじ/新潮社 (C)2025映画「トリツカレ男」製作委員会
特に苦労したのは「タタン」というキャラクター(声は森川智之!)で、そこには「優しいクマのような人と言われたのですが、ロマンスもあるので色気がほしくて、最終的には『スーパーマン』のクラーク・ケントのように。小男であるジュゼッペと対照的ながっしりとした体型にしています」という工夫もあったのだとか。

また、終盤にはかなり現実離れした展開もあり、そこでモノローグで「どうして◯◯◯◯◯かって?」と観客が思う疑問を代弁しながらも、アニメという表現および、やはりこのキャラクターデザインだからこその説得力を持たせていました。そのほか、通行人や店の客などのモブキャラクターも、世界観をしっかりと作るため荒川眞嗣が監修しているそうです。

ともかく、この個性的なキャラクターデザインの良さは、静止画や予告編の一部だけを見ても分かりきることは決してできない、映画本編を見てこそ「これがいいんだ!」になるのは間違いないです。

2:原作者が佐野晶哉を「今、天才を見ているんだ」と思った理由

褒めるところだらけの『トリツカレ男』の中で、最も重要な特徴は、はっきりと「ミュージカルアニメ」であること。特に、主人公のジュゼッペの声と歌唱を担当した「Aぇ! group」の佐野晶哉のことは、誰もが称賛するのではないでしょうか。
劇団四季の舞台などに子役として出演した経験もある佐野晶哉は、今回は「何か1つのことに夢中になると、ほかのことが全く見えなくなってしまう」という、愛おしくはあるけれど、ちょっと(かなり?)危なかっしくもあるジュゼッペに完璧にハマっており、その純粋さがありありと伝わってくる、伸びやかな歌唱そのものに感動があります。

それを証明するかのように、原作小説の作者であるいしいしんじは、アフレコに立ち会った時に、体を動かしながら演じる佐野晶哉を見て「『今、天才を見ているんだ』と思いました。ジュゼッペってある意味なんでもできる天才なので、天才じゃないと演じられないでしょうから」と、心からの称賛のコメントを送っているのです。
トリツカレ男
(C)2001 いしいしんじ/新潮社 (C)2025映画「トリツカレ男」製作委員会
さらには、笑顔に影のある女の子・ペチカを演じた上白石萌歌と佐野晶哉のデュエットは一生聴いていられるほどの多幸感があります。

変わりものだけど親友のジュゼッペを心から心配するハツカネズミのシエロ役の柿澤勇人、ギャングの親分なのに憎めない理由もあるツイスト親分の山本高広も、キャラクターの個性に合った歌唱を披露。それぞれが劇場のスクリーンで、迫力の音響で聴いてこその感動があるとも断言できるのです。
しかも、劇中のミュージカルソングおよび主題歌『ファンファーレ』を手掛けたのは、映画『花束みたいな恋をした』のインスパイア楽曲「勿忘(わすれな)」の大ヒットでも知られるAwesome City Club。それぞれがメロディアスで、言うまでもなく素晴らしいクオリティーで、メンバーのatagiは劇伴も担当しています。最後の最後まで、ぜひ聞き入ってほしいです。
さらに、めちゃくちゃ良い人のレストランの店長役の松山鷹志や、ペチカの母の水樹奈々といった声優陣のハマりっぷりにも、ぜひ楽しみにしてください。
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「夢中になること」を肯定してくれる物語
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