「山本亭」では庭園を見ながら和菓子を食べてゆったり
参道の奥にある「柴又帝釈天」は、江戸時代から庶民に愛されてきた名刹。堂々とした「二天門」や「大鐘楼」、寅さんが産湯をつかったとされる「御神水」など、見どころが満載です。
境内には有料の「彫刻ギャラリー」もあり、華経説法を題材にした見事な浮き彫りを堪能できます。
帝釈天のすぐ隣には「葛飾区山本亭」があります。書院造りの和風建築に洋風装飾を取り入れた建物で、美しい庭園を眺めながら抹茶を楽しむこともできます。
隣接する「柴又公園」はツツジの名所で、春には多くの観光客が訪れます。その一角にある「寅さん記念館」では、『男はつらいよ』に登場した団子屋「くるまや」のセットをはじめ、映画資料や小道具を数多く展示。併設の「山田洋次ミュージアム」も見応え抜群です。
江戸川河川敷の「矢切の渡し」も必見
柴又公園を抜けると、江戸川の堤防へ続く歩道があります。堤防の上から望む河川敷はとても開放的で、散歩やランニング、野球を楽しむ人の姿も多く見られます。
そして忘れてはならないのが「矢切の渡し」。東京都内で唯一残る船の渡し場で、300円で千葉県松戸市側へ渡ることができます。ゆったりとした船旅の中で、『男はつらいよ』の情景が目に浮かびます。
さらに、堤防近くでは「柴又川甚(かわじん)まちなみ館」の整備が進行中。江戸時代後期創業の老舗川魚料理店「川甚」の跡地を活用した観光拠点で、2026年3月の開業を予定しています。完成すれば、柴又の新たなランドマークになりそうです。
柴又は駅から江戸川河川敷まで徒歩圏内で回れる、まさに“昭和と下町文化の博物館”のような街です。午前中に参道と帝釈天をめぐり、午後は山本亭や寅さん記念館、夕方は矢切の渡しを眺めながら過ごす──そんな1日が、きっと忘れられない東京の思い出になるでしょう。



