「身長を伸ばすには、子どもの栄養状態を整えることが大切」と語るのは、身長治療のスペシャリスト・田邊雄さん(東京神田整形外科クリニック院長)。
気を付けたいのが「成長期の子どもたちが必要とするエネルギー量」です。実は、8歳の子どもは大人の女性と同じくらいエネルギーが必要なのだそう。それに肥満は身長を伸ばす妨げになります。
子どもの成長を最大限にサポートするために、親が知っておくべき食事のルールとは何でしょうか。田邊さんの書籍『身長先生式 子どもの身長が伸びる食事のルール30』(Gakken)から一部を抜粋して紹介します。
子どもは8歳の時点で大人の女性と同程度のエネルギーが必要
家庭での食事のせいで子どもがエネルギー不足、栄養不足になってしまうことは、なんとしても避けなければいけません。知っておいていただきたいのが、子どもは大人が思う以上にエネルギーを必要としているということです。
厚生労働省による2020年版「日本人の食事摂取基準」では、1日あたりの推定エネルギー必要量は、8~9歳男子が1600〜2100キロカロリー、女子が1500〜1900キロカロリー(運動量によって異なる)。
子どもが小学校の低学年の場合、「まだ体も小さいから、食べる量は少なくていい」と思い込んでいませんか?
たとえば、コンビニやスーパーで売っている「ミニ弁当」(約300〜400キロカロリー)程度の量を1日に3食摂っていたとしても十分ではありません。小学生になったのに、学童に持っていく弁当箱が保育園のときのままなら、エネルギー不足の可能性が高いでしょう。また、朝食を食べない、またはトースト1枚ですませてしまう場合も、おそらくエネルギー不足です。
さらに、部活や習い事でスポーツをしている場合は、必要なエネルギー量はぐんと増えます。
「日本人の食事摂取基準」では、運動量が多い場合は「身体活動レベルⅢ」となりますから、小学校高学年の男子は2500キロカロリー、女子は2350キロカロリー、中学生になると男子は2900キロカロリー、女子は2700キロカロリー、高校生になると男子は3150キロカロリー、女子は2550キロカロリーが必要となります。お母さんはもちろん、お父さんよりも多くのエネルギーが必要になるケースもあるのです。
もし、朝食抜きで朝練に参加していたり、部活で疲れて帰宅し、夕食を食べずに眠ってしまったりしているなら、確実にエネルギー不足。身長の伸びに悪影響があることは間違いありません。
子どもに必要な栄養は大人が思う以上に多い
ある10歳男子の1日の食事内容と摂取エネルギーの例を見てみましょう。【朝】
トースト6枚切り1枚(149キロカロリー)、目玉焼き&ウインナー2本(257キロカロリー)、レタス&ミニトマトサラダ(51キロカロリー)、ヨーグルト&いちごジャム(99キロカロリー)=556キロカロリー
【昼(給食)】
ポークカレーライス(522キロカロリー)、コールスローサラダ(128キロカロリー)、牛乳(122キロカロリー)=772キロカロリー
【夜】
ごはん200g(312キロカロリー)、鶏の唐揚げ4個(461キロカロリー)、キャベツサラダ(79キロカロリー)、わかめの味噌汁(41キロカロリー)=893キロカロリー
■合計=2221キロカロリー
昼食は学校給食摂取基準で定められているので、昼だけで1日の約3分の1の栄養を摂取できますが、朝と夜は家庭で食べることになります。
10歳男子の推定エネルギー必要量は2250キロカロリーですから、1日3食、しっかり食べてギリギリ満たせるということです。欠食や少食が続くと、エネルギー量が大幅に不足することがわかるでしょう。
子どもに必要な栄養は大人が思う以上に多い。このことを頭に入れて、一度、子どもの食事量を振り返ってみてください。



