「溝の口駅」は地味なのか。“アニメの聖地”と“飲み屋街”が共存する穴場タウンを歩いてみた

JR南武線と東急田園都市線・大井町線が交差する「溝の口」駅。JRと東急の乗り換え以外では降りたことがない人も多いかも知れませんが、街に出ると何があるのか。行って調べてみました。

再開発前の商店街も「飲み屋街」として大人気!

溝の口の写真
商店街は駅への近道でもあり、歩行者や自転車が通り過ぎていきます

溝の口駅の東側は、デッキやポレポレ通りなど再開発が進んだエリアですが、反対に西側へ出ると、昭和の香りを残すディープなスポットが広がっています。それが「溝の口駅西口商店街」です。

溝の口の写真
お昼は大半のお店が支度中

この商店街は、終戦後に溝の口駅前で広がっていたヤミ市が前身とされています。背の低い屋根の下に、居酒屋や食品店、菓子店などが軒を連ね、今も当時の面影を残しています。

溝の口の写真
夜の西口商店街。焼肉屋や焼き鳥屋からモクモク立ち込める煙が雰囲気抜群

商店街がにぎわうのは夕方から夜にかけて。焼き鳥の香ばしい煙と笑い声が立ちこめ、酒と肴を求める人々でごった返します。

溝の口の写真
商店街が二又に分かれる角部分のお店

とりわけ、居酒屋「いろは」は呑兵衛の聖地として知られる名店です。店内のテレビでは野球中継が流れ、ビール片手に盛り上がる客たちの活気があふれています。

溝の口の写真
昼の西口商店街。JRとの距離の近さがよく分かります

昼間の商店街は、ほとんどの店が開店準備中で静かな雰囲気。すぐ横をJR南武線が走り抜ける音が響き、ゆったりとした時間が流れています。

溝の口の写真
次に溝の口に行くときはカレー屋さんの方をチャレンジしたいです

また、西口商店街近くの街中華「南甫園」や、カレーライス・定食の「デリー」も人気店です。特に南甫園のカツ丼は税込600円(大盛り+150円)とリーズナブルながら、味もボリュームも満足度抜群。まさに“下町グルメ”を感じられる一皿です。

「参拝の道」と「水の道」が交わる街

溝の口の写真
右上の窓がどことなく目・鼻・口のよう

溝の口駅と東急高津駅の中間にある「大山街道ふるさと館」では、街の歴史や民俗、自然に関する資料を無料で閲覧できます。自販機やWi-Fiを備えた休憩スペースもあり、散策の途中でひと休みするのにも最適です。

溝の口の写真
大山詣りと納太刀は『ブラタモリ(NHK)』などでも紹介されましたね

施設は旧高津町役場の跡地に建てられており、屋外の壁面には当時の写真が展示されています。館内では、かつての大山詣りで奉納された巨大な木刀「納太刀(おさめだち)」や、大山街道・溝の口地域の歴史資料などが展示されており、規模はコンパクトながら見応えのある内容です。

溝の口の写真
大石橋の欄干。用水沿いは遊歩道になっています

近くには、江戸時代に農業用水として利用されていた「二ヶ領(にかりょう)用水」と、それをまたぐ「大石橋」があります。地名「溝の口」は“溝(川や水路)”と“口(合流点)”に由来するとされ(※推測)、まさに“水と人の交わる街”の象徴ともいえる風景です。

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かつては農業用水を引き込んでいたという「中原堰」の看板

旧大山街道沿いの史跡や寺社仏閣も多く、参拝の道をたどるもよし、水の道を歩くもよし。溝の口の歴史散策は、テーマごとに異なる表情を見せてくれます。

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駅前でパパッとアニメの『聖地巡礼』!
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