再開発前の商店街も「飲み屋街」として大人気!
溝の口駅の東側は、デッキやポレポレ通りなど再開発が進んだエリアですが、反対に西側へ出ると、昭和の香りを残すディープなスポットが広がっています。それが「溝の口駅西口商店街」です。
この商店街は、終戦後に溝の口駅前で広がっていたヤミ市が前身とされています。背の低い屋根の下に、居酒屋や食品店、菓子店などが軒を連ね、今も当時の面影を残しています。
商店街がにぎわうのは夕方から夜にかけて。焼き鳥の香ばしい煙と笑い声が立ちこめ、酒と肴を求める人々でごった返します。
とりわけ、居酒屋「いろは」は呑兵衛の聖地として知られる名店です。店内のテレビでは野球中継が流れ、ビール片手に盛り上がる客たちの活気があふれています。
昼間の商店街は、ほとんどの店が開店準備中で静かな雰囲気。すぐ横をJR南武線が走り抜ける音が響き、ゆったりとした時間が流れています。
また、西口商店街近くの街中華「南甫園」や、カレーライス・定食の「デリー」も人気店です。特に南甫園のカツ丼は税込600円(大盛り+150円)とリーズナブルながら、味もボリュームも満足度抜群。まさに“下町グルメ”を感じられる一皿です。
「参拝の道」と「水の道」が交わる街
溝の口駅と東急高津駅の中間にある「大山街道ふるさと館」では、街の歴史や民俗、自然に関する資料を無料で閲覧できます。自販機やWi-Fiを備えた休憩スペースもあり、散策の途中でひと休みするのにも最適です。
施設は旧高津町役場の跡地に建てられており、屋外の壁面には当時の写真が展示されています。館内では、かつての大山詣りで奉納された巨大な木刀「納太刀(おさめだち)」や、大山街道・溝の口地域の歴史資料などが展示されており、規模はコンパクトながら見応えのある内容です。
近くには、江戸時代に農業用水として利用されていた「二ヶ領(にかりょう)用水」と、それをまたぐ「大石橋」があります。地名「溝の口」は“溝(川や水路)”と“口(合流点)”に由来するとされ(※推測)、まさに“水と人の交わる街”の象徴ともいえる風景です。
旧大山街道沿いの史跡や寺社仏閣も多く、参拝の道をたどるもよし、水の道を歩くもよし。溝の口の歴史散策は、テーマごとに異なる表情を見せてくれます。



