赤羽駅といえば“せんべろ”…だけじゃない! 坂とUR団地、自然が彩るもう1つの街を歩いてみた

東京都北区のJR「赤羽駅」は都心部あちこちに行きやすいほか、とにかく「せんべろ」「居酒屋」というイメージが有名。それ以外には何があるのか、行って調べてみました。

大幅リニューアルを遂げた赤羽台団地

赤羽の写真
団地内は現在もあちこちが整備工事中
赤羽駅西側で最も存在感を発揮しているのは「ヌーヴェル赤羽台」。1960年代に建設された旧「赤羽台団地」が老朽化のため2006~2018年に建て替えられ、シャープで明るいデザインの棟に生まれ変わっています。
 
赤羽の写真
写真右手が旧赤羽台団地の「スターハウス」
ここは明治時代から旧陸軍が軍事施設としていた土地で、そこへ23区初の都市型マンモス団地として赤羽台団地が誕生。上から見るとY字型で不整形地でも建てやすい「スターハウス」のほか、1K~4DKまで大小さまざまの住居が作られるなど、昭和の住宅史を学ぶ上でも重要な場所です。
 
赤羽の写真
敷地内に博物館のある団地というのもなかなかにレアですね
旧赤羽台団地の一部は2018年に国の登録有形文化財となり、現在も取り壊されずに保存されています。その近くには、ヌーヴェル赤羽台を建てたUR都市機構の運営する「URまちとくらしのミュージアム」が営業中。見学要予約ながら入館無料なので、ご家族連れやミニ博物館マニアの方は1度訪れてもいいかもしれません。
 
赤羽の写真
コーヒースタンドではランチや軽食も提供しています
団地の中には多機能型コミュニティー拠点「ヒントメーション」やコーヒースタンド「SWITCH STAND AKABANE」もあり、団地住民の憩いの場となっています。
 
赤羽の写真
まだまだ再生途上のヌーヴェル赤羽台。
なお、ヌーヴェル赤羽台(赤羽台団地)は建物の更新が行われているものの、実は住民の高齢化と流出が現状の課題とのこと。少し北方向にある「都営桐ケ丘団地」も、団地全体の高齢化や、団地内商店街のシャッター街化が深刻です。団地という住環境の成立から衰退、そして今後の展望まで、赤羽は多くのことに気付かせてくれます。

赤羽は実は「水と緑」の街

赤羽の写真
自然観察地区のほか運動場もあります
今回の街歩きの終着点は、ヌーヴェル赤羽台のすぐ近くにある「赤羽自然観察公園」。団地や住宅街の中とは思えないほど、緑豊かで穏やかな環境が広がっています。
 
赤羽の写真
木製デッキの上から、赤羽の湧水を見る
実は赤羽駅西側は秩父山地を源流とする伏流水に富んでおり、公園内では湧水スポットも。マイナスイオン多めの空気を浴びつつ癒やされたい時におすすめです。
 
赤羽の写真
木々で隠れていますが、昔ながらの藁葺屋根
こうした水と緑の豊かさは、地域の暮らしや農業とも密接に結びついてきました。「北区ふるさと農家体験館」では、そうした北区の生活史についてお手軽に学べます。
 
赤羽の写真
この緑豊かな姿も赤羽です
このように、赤羽駅西側は地域自体の地形・自然・歴史との関わりを感じさせるポイントが多くあります。駅東側で夜飲みの予定がある時など、ちょっと早めに赤羽駅を降りて西口を散策すると、意外な発見があるかもしれません。
 
赤羽の写真
赤羽散歩の後は銭湯へ!
なお、赤羽エリアは銭湯も複数営業中。駅西側で赤羽自然観察公園近くの「富士の湯」のほか、駅東側にも東京メトロ南北線と沿うように「岩の湯」「テルメ末広」「HOTランドみどり湯」「藤乃湯」などが点在しています。いずれも赤羽駅から徒歩十数分の距離(一部は南北線の赤羽岩淵駅や志茂駅が最寄)ですが、赤羽ウォークの後で寄ってみてはいかがでしょうか。

この記事の筆者:デヤブロウ プロフィール
都内在住の街歩きライター。Yahooエキスパートとして台東区の地域情報を発信するほか、「macaroni」など複数メディアで執筆を行う。飲食店、博物館、銭湯巡り、寺社探訪を中心に地域情報を発信中。東京シティガイド検定を取得済み。
記事に戻る
 
Lineで送る Facebookでシェア
はてなブックマークに追加

編集部が選ぶおすすめ記事

注目の連載

  • ヒナタカの雑食系映画論

    『ペリリュー -楽園のゲルニカ-』が戦争アニメ映画の金字塔となった3つの理由。なぜ「PG12指定」なのか

  • 恵比寿始発「鉄道雑学ニュース」

    「まるでペットのようだったのに…」Suicaペンギン卒業で始まるロス。リュック、Tシャツ…愛用者の嘆き

  • 海外から眺めてみたら! 不思議大国ジャパン

    「空の絶対権威」には逆らえない!? JALの機長飲酒問題に思う、日本はなぜ「酔い」に甘いのか

  • 世界を知れば日本が見える

    【解説】参政党躍進に“ロシア系bot”疑惑、証拠なく“自民党の情報操作”との見方も