どうする学校?どうなの保護者? 第33回

PTAの「ズルい」論争、いつまで続く? 任意と分かっても非会員を許せないワケ

PTAを退会する人や「入らない」という人に対し、会長や役員さんが「それなら子どもを登校班から外す」「記念品を子どもにあげない」などと告げ、トラブルになるケースがあります。何が問題なのでしょうか?

「恩恵を受けたい」と思っているわけではない

ヤフコメやSNSなどでは、「PTAに入っていないのに『恩恵を受けさせろ』と言うなんてずうずうしい」といった非難を時々目にします。でも、少なくとも筆者はそういった要求をする人に会ったことがありません。
 
PTAに入らない人たちはただ、その選択によって、ほかの子どもたちが学校でもらえるものをわが子だけもらえない状況に置かれることや、みんなが登校班で通学する中わが子だけ村八分で通学を強いられることを避けたいだけです。だから「同じように扱ってほしい」と求めているのであり、それは「恩恵を受けたい」ということとは違うでしょう。
 
この論争は一体いつまで続くのか。保護者同士いがみあい続けるくらいなら、PTAは登校班の運営も記念品の配布も、いっそ手放してはどうでしょうか。実際、集団登校をやめて個別登校に移行する学校や、記念品の配布をやめるPTAは、最近増えつつあります。
 
自分が我慢していることを我慢しない人を見ると「許しがたい」と感じるのは、たぶん誰にでもあることでしょう。そんなとき、相手にも我慢を求めるのでなく「じゃあ自分も我慢するのをやめよう」と考える人が増えたら、ずいぶん息苦しさの少ない世の中になりそうです。
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大塚 玲子 プロフィール
ノンフィクションライター。主なテーマは「PTAなど保護者と学校の関係」と「いろんな形の家族」。著書は『さよなら、理不尽PTA!』『ルポ 定形外家族』『PTAをけっこうラクにたのしくする本』『オトナ婚です、わたしたち』『PTAでもPTAでなくてもいいんだけど、保護者と学校がこれから何をしたらいいか考えた』ほか。ひとり親。定形外かぞく(家族のダイバーシティ)代表。
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