3:「かわいそかわいい」主人公にロバート・パティンソンがベストマッチ
そんな「ミッキー17」と「ミッキー18」を演じるのが、ロバート・パティンソンであり、まさに最高の人選といえます。
『トワイライト』シリーズではイケメンなヴァンパイアを、『TENET テネット』では愛らしさの頂点を極めたような笑顔で観客を魅了し、『THE BATMAN-ザ・バットマン-』では「確定申告できなさそう」と言われるほどの不器用さなどを体現してきたパティンソンは、今回の共感と同情を呼びまくる「ヘタレでダメだけどいざという時は頑張る愛すべき男」にもピッタリ。
もっと言えば「かわいそかわいい」役を演じて、母性本能をくすぐるのに彼以上の適任は考えられないのです。
しかも、『ライトハウス』で見せた狂気的な感情表現「だけではない」奥深さも、「ミッキー18」というキャラクターに全力で注ぎ込まれていました。
かたやヘタレだけど愛おしい中年、かたや殺人をも“ためらわない”サイコパスという、両サイドのパティンソンの魅力が爆発しているので、彼のファンはほかの何を差し置いても同作を見るべきでしょう。
4:マーク・ラファロとトニ・コレットの夫婦が最悪(褒め言葉)
ほかの俳優陣ももちろん最高なのですが、企業のトップを演じるマーク・ラファロと、その妻役のトニ・コレットは特に外せません。マーク・ラファロはやはり『アベンジャーズ』でのヒーローの「ハルク」で知られ、善人を演じることも多かったのですが、『フォックスキャッチャー』では優秀かつ良い人間「すぎる」が故に悲劇の引き金となる人物に扮(ふん)したこともあり、直近では『哀れなるものたち』でも悪どい役を演じていました。
今回のマーク・ラファロはさらに「権力を誇示し、弱者を平然と虐げる」悪役へと振り切っていて、それでいてさげすむ対象であるはずのミッキーには複雑な感情を抱いているようにも感じる、見事な演技を披露しているのです。
トニ・コレットは全編にわたって夫と同調しており、人間を人間とも思っていないような振る舞いが恐怖を感じさせると同時に、「ひどすぎて笑ってしまう」領域に達しており、ある1シーンでは完全にホラー映画『ヘレディタリー/継承』を想起しました。
総じて周りを全く顧みない、盲目的かつ自己中心的にも程がある最悪夫婦のはずなのに、あまりに2人とも愚かすぎて、一周回ってキュートにも思えてしまうというのも、恐ろしく感じるポイントでした。