中学受験に対する価値観の変化も!? 学校研究が必須
ここ数年の傾向として、最難関校は受験者数を減らしていて、中堅校と言われる学校の受験者数が増えています。これは、全体の受験者数の増加に伴い、より現実的な受験校選びをするご家庭が増えているからでしょうか。保護者の方々と話すと、価値観の変化も感じられます。昨年も書きましたが、偏差値重視ではなく、学校の教育の中身を見極めて、わが子に合った学校を選びたいという層が増えている印象です。特に中堅校を中心に、21世紀型教育へのシフトや高大連携など魅力的な教育プログラムに積極的にチャレンジしているところを評価する声も聞こえます。
入試自体も多様化し、2科目あるいは得意科目1科目だけでも挑戦できる入試、英語入試、公立中高一貫校と併願できる適性検査型入試、作文と面接、プレゼンやワークショップ型など教科学習以外の能力を測る入試もあります。
筆者の周りでも、2科目入試と英語入試を併用したり、習い事と両立しながら、短期間の準備で入試に臨むケースがありました。ただ、これらの新タイプ入試は決して簡単なわけではないので、悔いのないように準備をすることは大切です。
そのために必要なのは学校研究です。首都圏には300校近い学校があり、それぞれが目指す教育を行っています。その中から、お子さんに合う学校を見つけるのは簡単ではないかもしれません。それだけに、どんな受験にしていくのかを考えながら自分軸を持って進まないと、情報の海の中で溺れてしまいます。
偏差値は合格の可能性を測る数値であり、学校の価値を表す数値ではありません。また、世の中の情勢や学校の広報などさまざまな要因の影響を受けて上下します。偏差値だけにとらわれない学校選びをする目を養い、わが家にとって最高の受験を目指しませんか。
『<中学受験>親子で勝ちとる最高の合格』(青春出版社)では、ポジティブ心理学に基づいた子どものやる気を引き出す親の関わり方を紹介すると共に、学校の傾向を分析できる学校選びのマトリクスや、わが家の受験軸を考えるワークシートもダウンロードできますので、ぜひご活用ください。
この記事の執筆者:中曽根 陽子
数少ないお母さん目線に立つ教育ジャーナリストとして、紙媒体からWeb連載まで幅広く執筆。海外の教育視察も行い、偏差値主義の教育からクリエーティブな力を育てる探究型の学びへのシフトを提唱。お母さんが幸せな子育てを探究する学びの場「マザークエスト」も運営している。『1歩先いく中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』(晶文社)など著書多数。