3:映像も音楽も全てがハイクオリティー!
投票システムや注意事項はもとより、本作は「ライブパフォーマンス」に特化したエンタメとして申し分のない、いや規格外とさえ言えるクオリティーです。制作は、テレビアニメ『シドニアの騎士』『大雪海のカイナ』を手掛けたポリゴン・ピクチュアズ社で、今回は3DCGアニメならではの「空間」も感じられる迫力と臨場感がとてつもないことになっています。
モーションキャプチャーでアクターの動きを取り入れており、激しい手の動きにも不自然さを感じることはなく、ラップの歌詞も表示される派手な演出、大胆なカメラワークなど、そのすべてに惚れ惚れとするほど。
構成も、初めに簡単な世界観説明およびキャラクター紹介に近いドラマパートがあり、それ以降はトーナメント方式のバトルという、タイトかつ分かりやすいものです。
「人の精神に干渉する特殊なマイクの登場により戦争は根絶された」といったトンデモな世界設定や、ヤクザや詐欺師までいるクセが強く濃厚な味づけの18人のキャラクターの特徴は、『ヒプノシスマイク』を知らない人にとってはびっくりするかもしれません。
そして、今回の新曲は「16曲」で、いずれも言うまでもなく超ハイクオリティーです。何しろ参加したアーティストはKICK THE CAN CREW、Zeebra、Creepy Nuts、SALU、HAN-KUN、HOME MADE 家族、山嵐と超豪華!
個人的な一押しは「Fling Posse」が披露する 『バラの束』で、作詞・作曲・編曲を手掛けたKREVAというアーティストの「らしさ」がストレートに表れており、見た後は思わず口ずさみたくなりましたし、ゲームセンターを舞台にしたアイデアとアニメとしての作り込みも素晴らしいものでした。
まとめ:やっぱり文句も言いたくなった(いい意味で)
そして、その『バラの束』をはじめとして、1つひとつが超魅力的な楽曲およびパフォーマンスもまた、投票結果によってチームが勝ち上がらなければ、披露されることはない、というわけです。
そのおかげもあって、やっぱり「なんでこんな残酷な投票システムを実現させてしまったんだよ……! 全部のパフォーマンスを見せてくれよ!」と文句を言いたくなるほどだったのですが、それも含めてめちゃくちゃ本作を楽しんでいるということ、それがまさに新時代のエンタメだと思える一番の理由だったりもするのです。
この記事の筆者:ヒナタカ プロフィール
All About 映画ガイド。雑食系映画ライターとして「ねとらぼ」「マグミクス」「NiEW(ニュー)」など複数のメディアで執筆中。作品の解説や考察、特定のジャンルのまとめ記事を担当。2022年「All About Red Ball Award」のNEWS部門を受賞。



