中学受験と高校受験の違いとは
その材料として、中学受験と高校受験の違いについてお伝えしましょう。
そもそも、中学受験と高校受験では、受験のシステムが違います。
高校は義務教育ではないとはいえ、ほぼ全員が受験して進学するので、高校受験浪人を生み出さないための構造的な仕組みが出来上がっています。「全滅しないようにする=収容」という考え方のもとに進路指導が行われるのです。
つまり、行きたい学校を受けるというより、「受かる学校を受ける」というのが高校受験の世界のある意味、常識です。
そのために偏差値の輪切りによって受験校を振り分けられる傾向があります。その偏差値ですが、同じ学校でも高校受験の方が中学受験より高くなるのは、母集団が大きくなるからです。
よく、「中学受験でうまくいかなかったら、高校受験でリベンジさせる」という人がいますが、このようにシステムが違うので要注意です。
また、高校受験は当日のテストだけでなく、授業中の態度などが評価される内申点も重視されます。私学の推薦入試でも、学校が求める内申基準を満たしていることが、合格の可能性を高めます。さらに、女子校を中心に高校募集を停止する学校が増えていることから、より選択肢が多い中学受験を選択するという人も多いです。
こう書くと、中学受験の方がいいのかと思われるかもしれませんが、もちろん高校受験のメリットもあります。高校受験を選ぶメリットは、次の4つだと筆者は考えています。
高校受験のメリット
1. 教育費を抑えられる
高校授業料無償化の範囲が広がっているので、中学から私学に行くより、教育費の負担は少ないです。塾の費用も、中学受験塾より負担は少ない傾向があります。
2. これまでの環境をリセットできる、新しい環境で人脈が広がる
中学受験を選ぶ理由として、同じような環境の人が集まるので安心という声がありますが、裏を返せば多様性に欠け、交友関係が固定化しやすいともいえます。高校受験に臨むことで、全く新しい環境に入れるのはメリットの1つでしょう。
3. 小学生から受験のための塾通いをする必要がなく、子ども時代をのびのび過ごせる
中学受験対策塾では、夜の9時過ぎまで授業があることも、少なくありません。子ども時代に遅くまで机に向かう必要がなく、ゆったりとした時間を過ごせるのは、高校受験を選ぶメリットだといえるでしょう。
4. 本人の意思を最優先できる
本来、中学受験、高校受験ともに、親が全てをコントロールするのではなく、上手にサポートする必要がありますが、高校受験の方が、より子どもの意思を優先できます。
中学受験のメリット・デメリット
一方、中学受験をするということは、中高一貫教育を選ぶということです。
そのメリット・デメリットを整理してみると、メリットは、
1. 高校受験がない分、のびのびと過ごせる
2. 特色あるカリキュラムで学ぶことができる
3. 子どもから大人になっていく時期に、成長段階に応じた教育を受けながら、じっくり自分に向き合える環境を得られる
4. 同じ環境にモデリングできる高校生がいる
でしょうか。
一方デメリットは、
1. 高校受験に伴う緊張感がないため、勉強へのモチベーションを高く維持し続けることは難しく、中学受験で頑張った分、中だるみすることが多い
2. 6年間同じ環境で過ごすので、人脈が広がりにくい
3. 成長期で変化が激しい時期なので、価値観が変わったとき、学校と合わなくなったとき、人間関係でつまずいたときなど、リセットしにくい
といったことが挙げられるかなと思います。
いかがでしょうか。中学受験、高校受験のメリットをお伝えしましたが、最終的な「これが正解」は正直ありません。子どもにどちらが合っているかを見極め、子どもがどうしたいかを聞いたうえで、それぞれの家庭で判断するしかないと思います。
ただ、中学受験を選ぶということは、10~12歳で目標に向けて挑戦することになるので、精神年齢の高いお子さん、ある程度の学習習慣が身についているお子さんの方が取り組みやすいということはいえるでしょう。
反対にまだ精神的に幼くて、勉強に向き合う姿勢が育っていない子は、高校受験を選んだ方がいいかもしれません。
しかし、中にはそういうお子さんだからこそ、サポートがきめ細かい印象のある中高一貫教育を選びたいという人もいるでしょう。そういう場合はなおのこと、世間の価値観に流されず、お子さんに合う塾や学校を選ぶ必要があります。



