川口春奈×松村北斗が描く『アンサンブル』
そして、『法廷のドラゴン』に負けず劣らず奇妙な設定なのが『アンサンブル』です。川口春奈さんが主演を務めるドラマで、現実主義の女性弁護士・小山瀬奈を担当します。そんな瀬奈とバディを組んで裁判を解決するのが、SixTONESの松村北斗さん演じる理想主義の新人弁護士・真戸原優。2人が、さまざまな恋愛トラブル裁判を解決していく中で、恋の教訓を得て自分たちの恋愛に生かしていくストーリーのドラマです。
日本テレビの公式Webサイトでも、“リーガルラブストーリー”と名付けられているのですが、とにかく恋愛トラブルだけを扱うというのが珍しいポイント。さらに、本記事執筆時点(1月末)では明らかになっていませんが、瀬奈と真戸原は恋人関係になっていくようで、裁判を担当するバディが恋人同士というのもあまり聞いたことがない設定です。
裁判を通して恋愛が進展していく新感覚のリーガルドラマ
恋愛に特化したリーガルドラマとなった『アンサンブル』ですが、第2話まで見た感想としてバランスのいい作品だと感じました。主人公の瀬奈は、過去の恋愛に関するトラウマがあり、私生活でも裁判でもどこか冷めていて、効率化することが趣味。その一方で、温かい家庭に育った真戸原は弁護士なのに人を疑うことを知らず、裁判の勝敗よりも依頼人が本当に幸せなのかを追求します。結果として、バディでありながら意見がぶつかることに。対立しながらも、互いにいい部分を見つけ出し絆を強めていくストーリーとなります。惹かれ合う2人が、仕事を通じて互いを理解し、恋愛に発展する流れが自然で、裁判パートと恋愛パートを視聴者はストレスなく見ることができるのです。
普通ならば、仕事である裁判とプライベートの恋愛は切り離されますが、『アンサンブル』ではうまくミックスしています。例えば、第2話では互いの心がすれ違っていた夫婦の裁判を担当しますが、瀬奈は裁判を通してトラウマに向き合うことを決意。裁判が終わると恋愛パートでも進展がある作りとなり、相乗効果で続きが見たい演出になっているのです。
今後のストーリーでも、裁判を通じて瀬奈と真戸原が人間として成長し、恋愛を成就させていく設定のようで、裁判の解決だけを目指すドラマではない様子。新感覚なリーガルドラマとなり、最後はどんな形で2人が幸せを作り出すのか楽しみです。
松村北斗の演技が秀逸! 異質な弁護士を繊細に表現
そんな『アンサンブル』ですが、準主役の立ち位置である松村さんの演技が光っています。瀬奈は、現実主義者で一般的な弁護士のイメージに近いですが、真戸原はかなり異質な存在です。弁護士といえば、どんな手段を使ってでも依頼者を勝たせることを第一に考えるイメージですが、真戸原は真逆とも言える行動を取ります。第1話でも、クライアントの意思に反して、揉めているカップルが和解できるように勝手に行動。結果として、さまざまなハレーションを生み出しますが、カップルを復縁させることに成功します。
真戸原の天真らんまんな性格が、松村さんの爽やかなイメージにぴったり。さらに、さまざまな役を担当してきた演技派の松村さんらしく、真戸原の作り込みがうまく瀬奈に対する気持ちの変化などを繊細に表現しています。真戸原の魅力で主人公・瀬奈をより輝かせ、ドラマの面白さを引き出しています。
そんな真戸原にも過去に女性との間で恋愛に関するトラウマがあったことが示唆され、今後はトラブルの内容が明らかにされていきそうです。魅力的な真戸原がより視聴者から注目されることになりそうで、松村さんがさらに『アンサンブル』を面白くしてくれることでしょう。
さて、ここまで『法廷のドラゴン』と『アンサンブル』の魅力を紹介しましたが、TVerをはじめ見逃し配信サービスで最新話に追いつくことが可能です。両作品ともかなり実験的なリーガルドラマになっているので、ぜひお見逃しなく。
この記事の筆者:ゆるま 小林
長年にわたってテレビ局でバラエティ番組、情報番組などを制作。その後、フリーランスの編集・ライターに転身。芸能情報に精通し、週刊誌、ネットニュースでテレビや芸能人に関するコラムなどを執筆。編集プロダクション「ゆるま」を立ち上げる。