2025年冬ドラマは「新感覚のリーガルドラマ」に注目! 松村北斗の好演が光る『アンサンブル』は必見

話題作が目白押しの2025年の冬ドラマですが、今回はその中でも弁護士が主役となるリーガルドラマに注目。この記事では、『アンサンブル』と『法廷のドラゴン』の魅力を、元テレビ局スタッフが解説します。(サムネイル画像出典:『アンサンブル』公式Webサイトより)

今期の冬ドラマはさまざまなジャンルの作品が放送されていますが、中でも注目したいのが「弁護士」を取り扱ったリーガルドラマです。2024年に放送したNHK連続テレビ小説『虎に翼』が記憶に新しいところですが、これまで数多くのリーガルドラマが制作されています。

現在放送中の『アンサンブル』(日本テレビ系)と『法廷のドラゴン』(テレビ東京系)は、これまでにない変わった作品となっています。この記事では、毎シーズン全てのドラマをチェックしている元テレビ局スタッフが、『アンサンブル』と『法廷のドラゴン』の魅力を解説します。

これまでになかった将棋×裁判で描く『法廷のドラゴン』

はじめに紹介するのは、上白石萌音さんが主演を務める『法廷のドラゴン』です。
  上白石さんが演じるのは、かつて将棋の世界で天才と呼ばれた天童竜美。初となるプロ女性棋士の誕生を期待されていましたが、夢を諦めて弁護士に転向した女性です。

元棋士の女性弁護士という設定が珍しいですが、竜美は裁判を進めるうえで何かと将棋の理論を活用。裁判が起きると、法廷を将棋盤に見立てて将棋の対局のように戦法を編み出します。将棋で数々の修羅場をくぐり抜けてきた竜美は、新米弁護士ながら奇抜とも言える戦法で、見事に勝利を導くのです。
  例えば、第1話では不用品の買取詐欺にあった被害者を救済するために、将棋の戦法の1つである「穴熊囲い」を提示。さらに、第2話でも「持将棋」と呼ばれる、膠着(こうちゃく)した際に用いられる互いの持ち駒を点数化して勝敗や引き分けを決める作戦を取るなど、とにかく全ての裁判を将棋の戦法で解決します。

ドラマでは、映像的にも竜美が将棋を指す演出を採用。これまでになかったリーガルドラマとして話題を呼び、視聴率は同枠で枠移行前の「ドラマ8」も通して歴代最高を記録します。TVerの見逃し配信でも人気を博し、初回放送はテレビ東京ゴールデン帯の番組史上最速で100万回を突破する快挙を成し遂げました。

変人弁護士役を上白石萌音がコミカルに表現

このドラマの最大の魅力は将棋と裁判をかけ合わせたところですが、それ以外にも面白い部分がたくさんあります。
  まず、竜美のキャラクターです。これまで変わり者の弁護士が登場するドラマは数多くありますが、竜美は飛び抜けた変人。前述したとおりに異常な将棋オタクなうえに、世間知らずで空気を読めず、曲がったことが嫌いというガンコな性格をしています。

竜美は、高杉真宙さん演じる弁護士・歩田虎太郎とバディを組むのですが、味方のことも放っておき1人で「長考」する場面も。理論がまとまると、将棋番組でよく見る解説パネルを使って戦術を説明します。なんとも不思議ちゃんキャラな竜美ですが、上白石さんがチャーミングに熱演して魅力的な人物に仕上げることに成功。セリフの間のとり方や表情の作り込みがうまく、少しコミュニケーション能力に難がある部分もコミカルに見せています。

正直、実際にいたら迷惑な人物の竜美を上白石さんが嫌みのないキャラクターに仕上げているのがドラマの魅力です。上白石さんのビジュアルも元天才棋士役にぴったりで、視聴者はドラマの世界観にグイグイと引き込まれていきます。

今後が気になる『法廷のドラゴン』ですが、2人のほかにも白石麻衣さんや和久井映見さん、田辺誠一さん、小林聡美さんなど実力派俳優陣が出演中。上白石さんと高杉さんのバランスもよく、放送回を重ねるごとに面白くなっていきそうなドラマです。
次ページ
新感覚の“リーガルラブストーリー”が話題に
Lineで送る Facebookでシェア
はてなブックマークに追加

編集部が選ぶおすすめ記事

注目の連載

  • ここがヘンだよ、ニッポン企業

    日本人より外国人富裕層? ホテル雅叙園東京「結婚式キャンセル」の裏で進行する「高級ホテル化計画」

  • 世界を知れば日本が見える

    「外国人街化」する日本の名所。海外のオーバーツーリズム事例に学ぶ、観光客に“ナメられない”対策とは

  • ヒナタカの雑食系映画論

    「投票システム」がすごい新時代のエンタメ『ヒプノシスマイク』。最高だからこそ“文句”も言いたくなった

  • AIに負けない子の育て方

    「中学受験からの撤退」を決断する前に考えておくべき、後悔しないための判断基準