玄関先に飾れば鬼が逃げる!? 節分に飾る「ひいらぎいわし」とは? いつまで飾るべき?

「ひいらぎいわし」の由来や飾る理由、そしていつまで飾るべきかについて「All About」暮らしの歳時記ガイドの三浦康子が詳しく解説します。

節分に飾る「ひいらぎいわし」って? いつまで飾るべき? 
節分に飾る「ひいらぎいわし」って? いつまで飾るべき? 
節分の時期になると、玄関先に「ひいらぎいわし」を飾る家庭もあるでしょう。この「ひいらぎいわし」とは一体何なのか、そしていつまで飾るべきなのか、気になる人も多いのではないでしょうか。

そんな節分に飾る「ひいらぎいわし」について、「All About」暮らしの歳時記ガイドの三浦康子が解説します。
 

(今回の質問)
節分に飾る「ひいらぎいわし」って? いつまで飾るべき? 

(回答)
「ひいらぎいわし」とは、ひいらぎの小枝に焼いたいわしの頭を刺したもので、邪気除けとして玄関先に飾る習わしがあります。一般的には節分の翌日に外しますが、1年間飾っておくところもあります。

 
どういうことなのか、以下で詳しく解説します。

「ひいらぎいわし」を飾る理由

節分には邪気が入りやすいと考えられていたため、邪気の象徴である鬼を払い、1年の幸福を願う風習があります。「ひいらぎいわし」は、その1つです。

古来、邪気はとがったものや強い臭いに弱いとされてきました。節分の場合、邪気が鬼、とがったものがひいらぎ、強い臭いがいわしです。

そして、節分の鬼はひいらぎの葉の棘といわしの臭いが苦手なため、ひいらぎの小枝に焼いたいわしの頭を刺した「ひいらぎいわし」を玄関先に飾っておくと、ひいらぎの棘が鬼の目を刺すため家の中に入れない、焼いたいわしの臭いで近寄らないとされました。平安時代の書物にこうした様子が記されており、江戸時代には浮世絵にも描かれるほど広く行われていたそう。「ひいらぎいわし」「焼い嗅がし(やいかがし)」などの呼び名があります。

また、立春の前日の節分は、冬から春になる節目であり、昔は新しい年を迎えるという意味をもっていました。漢字で「柊」と書くひいらぎは冬の象徴、「鰯」と書くいわしは弱いものでも鬼をやっつけられるという象徴でもあったのです。ひいらぎいわしの風習から、「鰯の頭も信心から」(いわしの頭でも信じる人にとっては尊いものだという意味)ということわざもできました。

「ひいらぎいわし」はいつまで飾るべき?

正式な決まりはありませんが、一般的には、冬から春になる節分行事のものと考え、節分当日に飾り、翌日の立春に外します。家や地域によっては、小正月の1月15日が過ぎると飾り始め、節分の後すぐには外さず2月末ぐらいまで飾っておく場合も。

また、邪気除けとして1年間飾っておいて、翌年取り換える家や地域もあります。

飾った後の処分方法は?

邪気除けのお守りなので、正式には社寺に納めてお焚き上げをしてもらいます。

自宅で処分する場合には、お酒と塩をふって清めてから、半紙などに包んで可燃ごみに出すとよいでしょう。
 

この記事の筆者:三浦 康子
和文化研究家、ライフコーディネーター。わかりやすい解説と洒落た提案が支持され、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、ウェブ、講演、商品企画などで活躍中。様々な文化プロジェクトに携わり、子育て世代に「行事育」を提唱している。著書、監修書多数。

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