フランス人を傷つける、日本人が言いがちな「褒め言葉」とは。訪日経験者が感じた“閉塞感”の正体

2024年、訪日外国人の数がついに過去最高に。筆者が暮らすフランスでもコアな日本ファンが存在します。しかし、実際に足を運んでみると、ポジティブなイメージとは裏腹に、予想外の「がっかりポイント」が浮かび上がることが少なくありません。

「鼻が高いですね」は褒め言葉ではなく悪口

「よかれと思って」発言したことが、裏目に出る場合もあります。その最たる例が、「鼻が高いですね」という言葉です。白人系外国人に対しては、特に気を付けなければなりません。

日本人としては、鼻筋の通った顔立ちを褒める意味で使っているこの言葉。しかし、彼らにとっては一種のコンプレックスであり、ルッキズムを助長する「悪口」でしかないのです。

フランスおよび欧米諸国では、会って間もない人から「顔立ち」を指摘されるのは非常に失礼にあたります。過去には「付け鼻」が差別や侮辱として問題になったケースもありました。つまり、日本人が外国人に向かって「鼻が高い」と指摘する際は、大きい鼻、醜い鼻として捉えられ、彼らを傷つけていることになります。日本人が「足が短くてかわいいね」と言われてうれしくないのと一緒です。

そのため、肌の色や目の色、顔のつくり、くせ毛、ストレートヘアなど、「生まれ持った身体的特徴」に関しては、たとえ褒め言葉であっても触れない方がいいでしょう。何かを褒める際には、服やアクセサリーといった「持ち物」を話題にするのが無難です。

知り合いのフランス人も日本で何度か同様の経験をしたそうですが、仲良くなった日本人から「鼻が高い」と言われるケースが非常に多く、その度にがっかりしたと話していました。

「完璧を求める日本社会」で感じた閉塞感

日本の駅のホーム
日本では電車が遅れることもない
また、リピーターとして繰り返し日本を訪れたフランスの友人からは、こんな意見が聞きました。

「日本は、どこに行っても清潔だし、スピーディーに接客してくれて、失敗もしていないのに謝ってくれる。だけど、完璧を求めすぎて逆に疲れないか? もし本当の失敗をしてしまったら、どこまで追い詰められてしまうのか」

彼は、東京の満員電車から降りる人々の表情を見て、フランスにはない「閉塞感」を感じたそうです。そして、「これは1回目の日本旅行では気付かなかったことだ」と付け加えました。

初めての訪日では、友人は日本人の優しさ、特に接客の素晴らしさに感動したと言います。しかし、何度か訪れて日本人と親しくなるうちに、「仕事を断れない性質」や「時間外労働」といった現実を知り、その素晴らしさが「犠牲の上で成り立っている」ことに気付いたそうです。

さらに彼は、「日本社会は完璧を強いる」と語ります。「これが原因で通勤者の表情が暗いのであれば、かわいそうだ。完璧であることや100%を人に強要すべきではない」と。

日本を初めて訪れる外国人とリピーター、在住者とでは、ネガティブイメージの内容も変わってくると思います。どの国にも良いところと悪いところがあって当然ですが、「日本がどう見られているか?」を客観的に知ることは、インバウンド観光が最高潮に達している今だからこそ必要かもしれません。

この記事の筆者:大内 聖子 プロフィール
フランス在住のライター。日本で約10年間美容業界に携わり、インポートランジェリーブティックのバイヤーへ転身。パリ・コレクションへの出張を繰り返し、2018年5月にフランスへ移住。2019年からはフランス語、英語を生かした取材記事を多く手掛け、「パケトラ」「ELEMINIST」「キレイノート」など複数メディアで執筆を行う。
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