どう過ごす? フランスの年明け
一般的に大みそかの夜は、恋人や友人といった親しい仲間たちと集まることが多いです。若い世代であれば友人たちとにぎやかなホームパーティーを、ご年配であればパートナーやご近所さんと自宅で穏やかな時間を過ごします。
筆者が過去に参加したフランス人同士のパーティーは、シャンパンやスナック菓子、スティック野菜などが用意された「家飲み」に近い雰囲気で行われました。集まった人々はカップルや友人、そしてその同僚たち。日付が変わる直前には、皆で大騒ぎしながらカウントダウンを始めたことを覚えています。
一方、パートナーと穏やかに元日を迎える場合は、いつもより少しだけ豪華なディナーを用意します。ただフランスの人々は、クリスマスで力を使い果たしてしまうせいか、大みそかから元旦にかけては無理をしない傾向があるようです。
その際に活用するのが、レストランのテイクアウト料理。「レヴェイヨン(大みそか)ディナー」と呼ばれるメニューでは、生牡蠣やフォアグラ、サーモンのムニエルやローストチキンなど、クリスマスディナーと似た料理が並びます。
とはいえ、年末年始の料理に大きな決まりはありません。フランスの人々は食事や習慣よりも、「誰と過ごすか?」を重要視しているイメージです。
正月ボケも正月太りもない
1月2日からは、日曜日でなければお店もレストランも全てが元通りになります。フランスの年末年始休暇は元日のみ。よって、日本のような「正月ボケ」や「正月太り」は存在しないと言えます。もちろん、お年玉や初詣といった特別なイベントもないので、日本人にとっては少し寂しい光景が広がるかもしれません。
「欧米のクリスマスは家族と過ごす」とは、日本でも広く知られた事実です。ところがフランスの正月は日本と逆で、たった1日の祝日で全てが終わってしまいます。
そんな習慣が根付いているフランスの人々にとっては、年末年始休暇がわずか1日だけというのはごく当たり前のこと。多くの人が「クリスマス前から休めるのであれば休みたい」と感じていますが、実際にはカレンダーの決まりに従わざるを得ない、というのが本音のようです。
この記事の筆者:大内 聖子 プロフィール
フランス在住のライター。日本で約10年間美容業界に携わり、インポートランジェリーブティックのバイヤーへ転身。パリ・コレクションへの出張を繰り返し、2018年5月にフランスへ移住。2019年からはフランス語、英語を生かした取材記事を多く手掛け、「パケトラ」「ELEMINIST」「キレイノート」など複数メディアで執筆を行う。