Jリーグ最短「ピッチまで5m」「選手が近い!」長崎スタジアムシティにサポーターの反応は?

「日本一ピッチに近いスタジアム」として、全国のサッカーファンから熱視線の長崎スタジアムシティを取材!

新しいサッカースタジアムと同時開業のホテル(画像提供:ジャパネットホールディングス)
新しいサッカースタジアムと同時開業のホテル(画像提供:ジャパネットホールディングス)
2024年10月14日、長崎市にサッカースタジアムを核とする大型複合施設「長崎スタジアムシティ」が全面開業。ホテル、ショッピングモール、アリーナ、オフィスなどもあり、試合日はもちろんその前後やイベント以外の日も楽しめる要素が満載だ。地元はもちろん、全国のサッカーファンが注目するこの施設を今回取材した。

「選手が近い!」Jリーグ最短距離、専スタで盛り上がる

「PEACE STADIUM Connected by Softbank」(ピーススタジアム)は、現在J2リーグで戦うV・ファーレン長崎の新拠点。収容人数約2万人の球技専用スタジアムだ。

まず、「日本一ピッチに近いスタジアム」と掲げる通り、ピッチと観客席との距離が「5m」で、これはJリーグのスタジアム規定にある最短距離。観客は選手のプレーを間近に見ることが可能で、最前列の柵もないか、もしくはとても低くて誰もが驚くだろう。
観客席からピッチまで5メートルはJリーグのスタジアム最短(画像提供:ジャパネットホールディングス)
観客席からピッチまでの距離5mは、Jリーグのスタジアム最短(画像提供:ジャパネットホールディングス)
座席には、ゴール裏を含む全席にカップフォルダーや背もたれが付く。そのゴール裏で最も近い座席は「熱狂V・ファーレンシート」「熱狂ビジターシート」として販売。ピッチに近い「プレイヤーズスイート」はメインスタンド最前列で、クッション性があり座り心地がいい。

ピッチ全体を見渡せる「コーナーソファーシート」(5名まで利用可)は、小さい子どもを連れての観戦にもおすすめだ。

また、ホテルの部屋から観戦できる完全個室「プラチナBOX」(6席×22部屋、10席×4部屋)、食事付きの「ブロンズスイート」などもある。単なる観戦にとどまらない、ラグジュアリーな観戦という選択肢があるのもいい。全席屋根に覆われ、雨天時も快適に観戦できる。
ホテルの客室内やベランダからスタジアムが一望できる(撮影:シカマアキ)
ホテルの客室内やベランダからスタジアムが一望できる(撮影:シカマアキ)
「アジアの大砲」と呼ばれた元日本代表フォワード(FW)で、現在V・ファーレン長崎の取締役を務める高木琢也さんは、「ここでスーパープレーが生まれるかもしれない。スタンドとの距離が近いので、選手に緊張感と集中力が生まれる」などと語っていた。距離が近いことで選手とサポーターに一体感が生まれ、どちらもテンションが上がるのは間違いない。

なお、試合のチケットは、ビジター関連は「Jリーグチケット」、他は「スタジアムシティチケット」(会員登録無料)での購入となる点に注意したい。また、試合以外の日でもスタンドに無料で入ることができるのもいい。

「スタグル」刷新、佐世保バーガーやスタジアムに醸造所も

★スタジアム内にある醸造レストラン。クラフトビールのタンクが並ぶ(撮影:シカマアキ)
スタジアム内にある醸造レストラン。クラフトビールのタンクが並ぶ(撮影:シカマアキ)
スタジアム観戦では、スタグル(スタジアムグルメ)も楽しみの一つ。スタジアム内の「THE STADIUM BREWS NAGASAKI」には日本のサッカースタジアムで初となる醸造所があり、1階の醸造エリアに設置された10台のタンクで年間約9万リットルのクラフトビールを醸造する。

定番から長崎の特産品を用いたものなど年間約100種類のクラフトビールを醸造予定(税込800円~)、長崎のかんきつ「ゆうこう」を使ったオリジナルのクラフトビール「ヴィ・ビール」は、フルーティーで爽やかな味わいが堪能できる。その他、国内外のクラフトビールも提供する。
スタジアム発クラフトビール「ヴィ・ビール」は長崎の名産かんきつを使った爽快な味わい(撮影:シカマアキ)
スタジアム発クラフトビール「ヴィ・ビール」は長崎の名産かんきつ「ゆうこう」を使った爽快な味わい(撮影:シカマアキ)
また、2階のブルワリーレストランではビールに合う軽食などを、3階ではモニターで試合を放映しスポーツバーの雰囲気が楽しめる。

スタジアム3階には、佐世保バーガーの名店「Stamina本舗 Kaya(伽倻)」や、東京・吉祥寺の人気店「長崎食堂 三代目 じげもんとん」が長崎初出店し、長崎の食材を使った料理などが味わえる。

2階「FOODHALL」には、全国展開している韓国鍋料理スンドゥブの専門店「東京純豆腐」や長崎ちゃんぽんのお店などもある。スタジアムシティ内の支払いはスタグルを含めて「完全キャッシュレス」なので注意したい。

日本初! サッカースタジアムが見えるホテルで宿泊&観戦

V・ファーレン長崎とサンフレッチェ広島のコラボルーム。両チームは平和を願う「PEACEつながり」(撮影:シカマアキ)
V・ファーレン長崎とサンフレッチェ広島のコラボルーム。両チームは平和を願う「PEACEつながり」(撮影:シカマアキ)
日本初の“サッカースタジアムビューホテル”が、「STADIUM CITY HOTEL NAGASAKI(スタジアムシティホテル長崎)」だ。

全243室ある客室の約7割がベランダからスタジアムを一望でき、「サッカースタジアムに泊まる特別感」が体験できるのはサッカーファンにはたまらない。

 特におすすめなのが、5階の「プラチナBOX」と呼ばれる客室。サンフレッチェ広島(Jリーグ)や、ブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオンFC(プレミアリーグ)などとコラボレーションしたインテリアで、宿泊も観戦も存分に堪能できる。
5階客室からの眺め。観戦用の座席もある(撮影・シカマアキ)
5階客室からの眺め。観戦用の座席もある(撮影・シカマアキ)
ホテル6階には、地下1500mから湧出した天然温泉(アルカリ性単純硫黄温泉)の大浴場があり、肌がつるつるになる「美人の湯」が楽しめる。プールやサウナ、家族風呂などもあり、いずれもスタジアムビューである。

さらに上階には、V・ファーレン長崎の公式マスコット・ヴィヴィくんをモチーフにした部屋「スーペリアシティビューキング」や、スイートルームなども。13階のスイートフロア宿泊者限定で利用できるクラブラウンジでは、ホテル専属のシェフやパティシエ、パン職人が手掛けた軽食などが、スタジアムを眺めながら優雅に楽しめる。
 
スイートルームがある階のクラブラウンジ。夜景スポットで知られる稲佐山も目の前によく見える(撮影:シカマアキ)
ホテルのスイートルームがある階のクラブラウンジ。夜景スポットとして知られる稲佐山も目の前によく見える(撮影:シカマアキ)
ホテルには、創作フレンチや本格イタリアンなど6つのレストランとバーも。

フランス語で「五感」を意味するイノベーティブフレンチ「LES CINQ SENS(レサンクサンス)」では地元長崎の食材にこだわった料理やお酒を、スタジアムを一望できる「CAFES & DINERS VERDE(カフェス アンド ダイナーズ ヴェルデ)」では洗練されたスイーツをアフタヌーンティーで楽しむことができるなど、唯一無二の体験となるはずだ。
ホテル内のレストラン「CAFÉS & DINERS VERDE」のアフタヌーンティー(画像提供:ジャパネットホールディングス)
ホテル内のレストラン「CAFES & DINERS VERDE」のアフタヌーンティー(画像提供:ジャパネットホールディングス)

スタジアム上空を飛行体験! 早速話題「ジップライン」

スタジアムの上を滑空するジップラインはスリル満点(撮影:シカマアキ)
スタジアム上空を滑走するジップラインはスリル満点(撮影:シカマアキ)
さらに、スタジアム上空を滑走する「ジップライン」も、サッカースタジアムでは日本初。オフィス棟から商業棟の屋上をワイヤーで結び、長さ258mの距離を約30秒、「スーパーマン型」か「着座型」の滑走方法で楽しめる。

スタジアムはもちろん長崎の港や山々などの景色も一望できるぜいたく体験。料金はいずれも税込2500円。基本的に試合がない日のみ実施する。

選手ロッカーも! スタジアムの「見学ツアー」も楽しい

Bリーグの試合も開催される「HAPPINESS ARENA」(ハピネスアリーナ)では試合がない日などに見学ツアーを実施(撮影:シカマアキ)
Bリーグの試合も開催される「HAPPINESS ARENA」(ハピネスアリーナ)では、試合がない日などに見学ツアーを実施(撮影:シカマアキ)
スタジアムやアリーナの裏側を見学する「長崎スタジアムシティツアー」もある。普段は入ることができない選手ロッカー、スタジアムのピッチ、VIPルームなどが見学できるので、これも長崎旅行の思い出となるだろう。料金は、スタジアムかアリーナのいずれかのツアー料金は大人2500円/子ども1000円、両方のツアー料金は大人3500円/1500円(税込、子どもは4歳以上小学6年未満)。

常設グッズショップで限定商品は長崎土産に

V・ファーレン長崎のオフィシャルグッズストア「FLAGSHIP STORE」(画像提供:V・ファーレン長崎)
V・ファーレン長崎、長崎ヴェルカのオフィシャルグッズストア「FLAGSHIP STORE」(画像提供:V・ファーレン長崎)
V・ファーレン長崎、長崎ヴェルカのオフィシャルグッズストア「FLAGSHIP STORE」は、長崎スタジアムシティのノース3階にオープン。常設店舗につき、試合日以外も買い物できる。

他チームのサポーターにも人気が高いヴィヴィくんのグッズをはじめ、この店舗限定の「長崎PEACE STADIUMに行ってきましたプリントクッキー」(税込972円)、「『V-VAREN×PEACE STADIUM』アクリルキーホルダー」(税込800円)なども販売する。
ショップにはV・ファーレン長崎の公式マスコット「ヴィヴィくん」のグッズも数多くそろう(画像提供:V・ファーレン長崎)
ショップにはV・ファーレン長崎の公式マスコット「ヴィヴィくん」のグッズも数多くそろう(画像提供:V・ファーレン長崎)
他にも、長崎スタジアムシティ内には「スターバックスコーヒー」などの飲食店や雑貨店が約80店舗出店。試合がある日もない日も楽しみは多い。

抜群アクセス! JR長崎駅から徒歩10分、空港からは1時間

長崎スタジアムシティ全景。長崎駅の北に位置する(画像提供:ジャパネットホールディングス)
長崎スタジアムシティ全景。長崎駅の北に位置する(画像提供:ジャパネットホールディングス)
長崎スタジアムシティは、JR長崎本線「長崎駅」から徒歩10分、JR長崎本線の「浦上駅」からは徒歩8分ほど。路面電車の場合は「スタジアムシティサウス(旧 宝町)」から徒歩約6分、「スタジアムシティノース(旧 銭座町)」から徒歩約3分。ちなみに、博多から長崎は、特急列車リレーかもめと西九州新幹線かもめを利用して最短1時間20分だ。

以前のホームスタジアム「トランスコスモススタジアム長崎」が、JR長崎本線「諫早(いさはや)駅」から徒歩25分だったことに比べると、アクセス事情は非常に良くなった。

なお、長崎空港からだとリムジンバスで約1時間。長崎スタジアムシティ内に宅配・荷物預かりカウンターがあるほか、今後コインロッカーも設置予定とのこと。試合日などは手荷物1個500円で預かってくれるサービスがあることも。アウェイでの観戦時など、手荷物預かりサービスの有無は事前にチェックしておきたい。

絶賛に不満も? こけら落とし試合でサポーターの反応は

スタジアムのピッチ部分は天然芝(撮影:シカマアキ)
スタジアムのピッチ部分は天然芝(撮影:シカマアキ)
2024年10月6日には、全面開業を前にスタジアムのこけら落とし試合が行われた。試合のチケットは完売。現地を訪れたV・ファーレン長崎、対戦相手の大分トリニータのサポーターから早速、新スタジアムの感想が上がった。

まず、その多くは「素晴らしい」と絶賛するコメントの数々。特に、ピッチと観客席との近さで、試合の盛り上がりなどは半端なかった。

現在のV・ファーレン長崎はJ2だが、来季はJ1昇格の可能性もあり、そのJ1チームのサポーターからも「早く行ってみたい」「J1昇格して」との声もすでに多数見られた。特に、ピッチまで5mのプレーヤーズスイートやゴール裏などが気になるサッカーファンは多い。

一方で、開業直後にありがちな改善すべき点も。サポーターが注目する「スタグル」を求めて長蛇の列ができ、買うのに長時間並んだ人、買うのも諦めた人が続出した。支払いがキャッシュレス決済のみで、戸惑う人も。注目のヴィ・ビールは完売し、入手できなかった人も少なからずいたようだった。

また、ビジター席の少なさに不満を漏らす人や、ピッチの芝の状態を心配したりする声もあった。
「FOODHALL」も人気グルメ店ぞろい。試合後も楽しめるのがまたいい(撮影:シカマアキ)
 「FOODHALL」も人気グルメ店ぞろい。試合後も楽しめるのがまたいい(撮影:シカマアキ)
しかしながら、試合終了後でも飲食店などは営業しているので、サポーター同士で試合の余韻に浸ったり、混雑を避けて帰るために時間をつぶしたりする人にはうってつけだった。試合終了直後はどのスタジアムも混雑する。その混雑回避に飲食店などの営業継続は早速、功を奏した形となった。

試合がない日も楽しい「複合施設」としての魅力

長崎スタジアムシティ入口。試合がない日も楽しめるスポットとして早くも話題になっている(画像提供:ジャパネットホールディングス)
長崎スタジアムシティ入口。試合がない日も楽しめるスポットとして早くも話題になっている(画像提供:ジャパネットホールディングス)
長崎スタジアムシティは、通信販売大手ジャパネットホールディングス(本社・長崎県佐世保市)が主導し、約1000億円をかけ、三菱重工業・長崎造船所幸町工場の跡地が再開発された場所。サッカースタジアムのほか、最大6000人収容のアリーナや長崎大学大学院などが入るオフィス棟もある。 

スポーツ観戦を中心とした複合施設は近年、プロ野球の北海道日本ハムファイターズが拠点とするエスコンフィールドがある「北海道ボールパークFビレッジ」、Jリーグのサンフレッチェ広島が2024年に移転したエディオンピースウイング広島の「ひろしまスタジアムパーク」があり、いずれも地元をはじめ遠征するそれぞれのファンも多く、観客数が大幅に増えている。長崎もこけら落とし試合の評判でさらに関心が高まり、J1昇格したら、さらに試合のチケットが争奪戦となりそうだ。
 
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