西武池袋線「石神井公園駅」には何がある? 味のあるゲーセンにボート池、公園以外も見どころ満載の街
西武池袋線内で、大泉学園駅と練馬高野台駅の間にあるのが「石神井公園駅」。インターネット上では「石神井」で「しゃくじい」と読ませる難読な知名・駅名が時おり話題になりますが、駅を降りた先の街中には何があるのか。この記事で詳しく紹介します!
公園西側(三宝寺池周辺)は豊かな自然と長い歴史を宿すエリア
一方、公園西側に広がる「
三宝寺池」はかつて武蔵野三大湧水地の1つと言われた場所。1935年に国の天然記念物に指定された「
三宝寺池沼沢植物群落」があるなど、自然保護・自然観察の場という特性が濃いエリアになります。
三宝寺池の周辺は木道が設けられており、動植物への悪影響を与えない形で自然散策もできるようになっています。また、こちら側ではランニング禁止、動物への餌やり禁止など動物保護のため注意喚起も行われているほか、貴重な植栽や生態系を維持する取り組みも実施中とのことです。
そして、三宝寺池にほど近い、雑木林の中にひっそりとたたずむのが、こちらの「
石神井城跡」。室町時代に石神井の地域一体を領有した豊島氏の居城跡です。
豊島氏は太田道灌(どうかん)との合戦に敗れて逃亡し、石神井城は1477年に落城。現在は堀や土塁など城の痕跡が残るのみで、それも荒廃から守るためフェンスで遮られており、普段は見学できません。
豊島氏の時代から幾百年。現在の石神井公園はかつて戦乱があった名残もなく、すっかり地域住民の憩いの場として親しまれています。平日の昼間ながら、公園内ではランニングやジョギングにいそしむ人、散歩中の親子、遊具を使って筋トレに励む若い男性、写生会と思しきご老人など、さまざまな人たちとすれ違います。
大きなサギやカルガモ、その写真を撮っている人の姿も、公園内ではたびたび見かけます。石神井公園は人間だけでなく野鳥や野生動物たちにとっても生活と癒しの場となっているようです。
失意のまま城を追われた豊島氏にとっては、後世で居城跡が安息の地になっていることがせめてもの幸いでしょうか。
公園周辺の博物館・図書館・神社もおすすめ
なお、石神井公園や石神井城跡の近辺には、それと付随する形での文化施設も複数あるので、それらを巡ってみるのも楽しみの1つでしょう。
公園の東西ちょうど中間にあるのが「
練馬区立石神井公園ふるさと文化館」。開館は2010年で、ガラス面の広いスタイリッシュな外観が特徴です。
こちらでは「ふ・る・さ・と」をコンセプトに石神井と練馬区の歴史や伝統文化、自然などを紹介。過去の市民生活に関する実物やジオラマなどもあり、無料ながら見応えはなかなかのもの。博物館入り口の脇にある斜面は、石神井城跡の土塁に見立てて整備してあるとのこと。
文化館から少し進んだ先にある「
練馬区立石神井図書館」も建物は比較的新しめ。公園散歩の前後にここで勉強や読書をしたり、借りた本を公園内で読みふけったりと、利用法はいろいろとありそうです。
公園の南西側に隣接する「
石神井氷川神社」は石神井地域の総鎮守社で、石神井城や豊島氏に由緒が深い歴史ある神社。神前結婚式に利用されるほか、毎月第四日曜日に骨董市を開催しています。
境内の掲示板には、10月のおまつりの横に「森のJAZZ祭」という音楽イベントの告知が。千代田区の神田明神など、旧来の信仰・伝統と現代カルチャーが交わる場所として神社の境内が活用されるケースは多くありますが、石神井氷川神社もその一つと言えます。
散歩・観光なら南側、住宅探しなら北側がグッド
石神井公園駅の周辺は、北側が再開発の進んだショッピングエリア、南側は大きな公園の自然と歴史を生かした文化・教育エリアと、その色合いは駅の南北でかなり明確に分かれています。ちょっとお散歩で立ち寄りたいという時は南側、住まい探しにあたって実地調査の時は北側を歩いてみるとよさそうですね。
この記事の筆者:デヤブロウ プロフィール
都内在住の街歩きライター。Yahooエキスパートとして台東区の地域情報を発信するほか、「macaroni」など複数メディアで執筆を行う。飲食店、博物館、銭湯巡り、寺社探訪を中心に地域情報を発信中。東京シティガイド検定を取得済み。