海外から眺めてみたら! 不思議大国ジャパン 第28回

日欧の「給食指導」比べてみたら……日本は「周りに迷惑をかけない食育」になっていないか?

夏休みが終わり、学校給食に喜ぶ子どももいれば、不安を募らせる子どもも……。一方、海外の学校では、どんな給食を食べているのでしょうか。ヨーロッパ在住の筆者が、スイスの給食事情を紹介します。

“信念”を持つ幼稚園児ベジタリアンも

スイス栄養学会とスイス・バーゼル市が推進している「スイスの食のピラミッド」と「最適な食事バランス」
スイス栄養学会とスイス・バーゼル市が推進している「スイスの食のピラミッド」と「最適な食事バランス」
ヨーロッパの食育で驚いたことといえば、幼稚園児ですら自ら信念を持ったベジタリアンが存在するという事実です。

実は筆者の周りにもベジタリアン児が複数いたのですが、菜食主義に傾倒した理由は「屠殺(とさつ)される動物に憐れみを覚えるため」だそうで、母親たちは「ちゃんとタンパク質を摂取してほしいけれど、普通の肉はもちろん、ソーセージやベーコンすら食べてくれないの……」と口をそろえて心配していました。

親たちも他の食材でプロテインを補う努力はするものの、子どもに肉食を強要せず、我が子の信条を尊重しているのが印象的でした。

食育の場でも自己主張するヨーロッパ

こうしてみると、ヨーロッパの子どもは食育の場でも自己を確立し、自分の個性に自信を持ち、堂々と周りに自己主張できるように教育されているようです。

日本で生まれ育った筆者は、おおよその栄養バランスを考えた献立や、食の選り好みをしすぎないことは重要と認識していました。けれど、その食育が子どもの人格、個性、将来といったものにまで打撃を与えてしまうのであれば、ヨーロッパ方式を柔軟に取り入れるのもアリなのかもしれません。
 

この記事の筆者:ライジンガー 真樹
元CAのスイス在住ライター。日本人にとっては不可思議に映る外国人の言動や、海外から見ると実は面白い国ニッポンにフォーカスしたカルチャーショック解説を中心に執筆。All About「オーストリア」ガイド。

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